中国での鳥インフルエンザの展開
今回の鳥インフルエンザの展開は今までの大流行とはかなり様子が違っている。確かに人間への感染があり、死ぬ人もいるが、過去の新しいインフルエンザとはだいぶ様子が異なる進行状況である。感染の速度は弱い。年齢が幅広く感染する傾向がある。香港風邪と言われるぐらいで、中国の南地方はインフルエンザの発生地点になぜかなる。シベリアからの渡り鳥と、養豚が原因とされてきた。過去のインフルエンザとウイルスとは、相当に型の違うものと考えた方がいい。人にも感染しているが、その広がり状態から見て、人ひと感染はあるとしても、現状では極めて少ないということ。また、鶏の中での感染爆発が起きていない。どうも同じ養鶏場の鶏でも、一部だけが感染しているようだ。つまり、感染力はかなり低いところが特徴のようだ。新しいタイプのウイルスのため死ぬ人もいるということだ。鶏はこのウイルスで病状が出ることはないらしい。
感染の広がり速度を見ると、人ひと感染はよほどのことがない限りないことがわかる。生きた鶏からの感染が主たる原因と言っていい。その理由もわからないが、よほど濃厚なウイルスの量が感染に必要なのか。4月28日現在122人が感染し、うち23人死亡した。確認から2か月が近くが経過してこの程度なら、上手くいけば中国から出ずに抑え込めるのではないだろうか。台湾の人が感染したが、この人の行動を徹底的に調べる必要がある。生きた鶏との接触がないと言っているそうだから、とことん何から感染が起きたのか調べれば分かるかもしれない。もう一つには、感染する人のタイプがどうもあるようだ。これも感染が確認した、120人を良く調べれば、何かが分かる可能性を探ってみるべきだ。今後の抑え込みには重要な材料である。感染者数と死者の数からして、重症化しやすいのは、新しいタイプのインフルエンザであり、特徴のある病状を起こしているのではないだろうか。
同じように感染鶏との接触のある人の大多数の人が感染していない。これは以前にもあったのだが、ワクチンから派生したウイルスということはないのか。どういう人は感染しないのか。今後の対策としては、中国で鶏肉を扱う場合の今までのやり方を変える以外にない。まず、生きた鶏の鶏肉としての販売をやめることだ。これは日本では当たり前のことだから、鶏肉の流通を変えれば済むことである。冷蔵庫の普及や、冷凍輸送技術の確立ということになるのだろう。安全な食肉センターも必要になる。また、豚が介在して居ないのか、居ないとするなら、今後豚に入らないように、徹底的な対策が必要になる。今回のウイルスが、豚の中で人人感染を起こししやすいように変異する可能性がある。日本での注意点は、中国からの帰国者の厳重なチェックと、渡り鳥の調査である。中国からの渡り鳥が今の時期少ないということであるが、死んだ鳥に触れるなどしないことだろう。
新しいウイルスが登場したとき、誰もが同じに感染する訳ではない。この原因を探るべきだ。免疫力の意味が見えてくる可能性がある。ワクチンによる免疫と、かつて感染したことによる免疫は、完全に同じとは言えないと考えている。ワクチンによる免疫は応用力がないように見える。わずかにウイルスが変異し形が異なるだけで、また感染をしてしまうように見える。しかし、自然に感染し克服したために出来た免疫は、ウイルスの少々の変異なら、対応するように見える。そういうことは医学的にはないとされているのだろうが、そういう感触がしてならない。免疫に関係しているマイクロバイオームのことがどうも気になるのだ。体内の微生物が、ワクチンに対してどのように反応するのか。同時に、ウイルスの感染に対してどのように対応するのか、体内微生物の研究が進むと、免疫に対して新しい見方が出来る気がする。