イラク戦争の結果

   

イラク戦争が終わり10年が経つ。アメリカのこの戦争の理由は、フセイン政権が大量破壊兵器を保有しているということ、アメリカをテロ攻撃したアルカイダを支援していた。という2点であった。しかし、その後の検証の結果この2点とも、間違えであったこと確定されている。そもそもこの戦争は、国連の決議を得たものでなかった。にもかかわらず、日本はアメリカに促されて、イラク戦争に参加してしまった。当時もこの戦争はおかしいということで、ずいぶんと政府批判が続いた。しかし、当時の自民党政権は意味不明の説明を繰り返した。自由世界を守り、テロを許さないという正義の理論で、自衛隊はサモアに駐留し、輸送業務をになった。戦争とか、武力とかを考える上で、イラク戦争はとても重要な意味がある。政府はその結果はどうなったのか。戦争というものが、どういうものかを徹底して検証すべきことだろう。

アメリカの判断が間違いであり、それに乗ってしまった日本の外交が問われるべきではなかったのか。何故事実を見つめ、分析をしようとしないのか。現在、北朝鮮で似たようなことが起きている。イラクのことを振り返って考えてみることは、今後の北朝鮮を考える上で、重要なことになるはずだ。アメリカは同じ正義を主張している。結局のところイラクはその後の10年どうなったか。フセインという独裁者が良くなかったというのは事実であろう。しかし、フセインがいなくなって、イラクはさらに貧しい国になった。石油は以前より販売量が伸びている。だから、イラク国内にはお金は入っているはずである。しかし、国民生活はフセイン時代よりもひどい状態だという。政権内部の腐敗が横行し、国民が恩恵を受けられない状態。その上、宗教的、民族的対立による内戦やテロが続き、イラクをだ出する難民もいる。その対策もままならない状態が、今のイラクの状況は改善されたとは言い切れない。しかし、JACAの見解では、イラクの復興は進んでいるそうだ。NHKの時論公論では、都市部は表面的には復興したように見えるが、国民生活は混迷を深めているという見方のようだ。イラク戦争に参加したアメリカ、韓国の企業の進出に比較して、日本企業の進出が遅れていることを嘆いている。何を見ているのかよくわからない。ヨーロッパ企業の進出を見落としている。

イラク戦争を検証する活動がある。二度と戦争に加担しないための活動である。イラク戦争への自衛隊の派遣の一番の思惑は、石油であった。アメリカの指導もあったのだが、フセイン後のイラクの石油利権の確保が目的であろう。アメリカがイスラム国家を支配できると考えたことが間違えであろう。日本人と、イラク人は全く異なるのだ。実際にイラクの日本企業の進出は不発に終わった。アメリカと対立して、派兵しなかったヨーロッパ企業の進出の方がはるかに多い。ヨーロッパと中東とのつながりと対立の歴史。アメリカとそれに便乗しようとした利権獲得の失敗。アルジェリアでもシリアでも、似たようなことが今も繰り返されている。戦争によって、武力行為によって、何かが解決するということはない。問題を悪化させるのが武力だ。このことを肝に銘じておかなければならない。

イラク人はアメリカの行為を批判する人が多い。しかし、問題はイラク人自身にある。フセインという独裁者を生んだのもイラク人である。その反省を踏まえなければ、その後のアメリカ支配を批判しても始まらない。今のイラクをどうするかはイラク人が考えるしかない。独裁者フセインが悪かった、アメリカが悪かった、こういってみたところで、イラクはよくはならない。それは今の北朝鮮も同じであろう。独裁者3代を受け入れているという近代国家はあまりに不自然である。だからと言って、北朝鮮の人たちのなかに、何とか国を変えてゆこうという動きが生まれない以上、武力を持って圧迫したところで、問題は解決できない。アメリカが軍事圧力を高めていることは、とても危険である。

 - Peace Cafe