沖縄米軍基地返還

   

沖縄の米軍の基地の返還の日程が出てきた。一歩前進であるような、そうでもないような不思議な文面である。つまり、「2022年度」の後に「またはその後」と付け加え、期限を決めない表現で折り合った。というか折り合いがつかなかった。「またはその後」ということは、日本語では、時期を明示したとは言えないではないか。近いうち解散の時と一緒である。「またはその後」というのは、その内いつかは返すという意味にしか取れない。米軍の基地返還はそう簡単なことではないということを改めて、示した結果だろう。そこまで明確にしたのは、安倍政権の努力だと思う。そもそも、沖縄返還後40年、日本政府が基地移転を進めようとしなかったことが異常事態だったのだ。今回無理にアメリカに出させた返還計画には、2つのごまかしがある。嘉手納基地以南の米軍基地と言えば、普通嘉手納基地が入るはずだが、嘉手納入っていない。その上、辺野古移転が出来たならという、条件がすべての前提ということだ。

結局のところ、世界情勢次第ということなのだろう。アメリカが沖縄の基地を戦略的にとても重視している。いままでは、国民向けには、米軍基地返還の建前は出ていたが、アメリカに対しては、お願いして駐留してもらっていたということだろう。今回は、はっきりと出ていってほしいということを示したようでもある。しかし、アメリカはアメリカの方針として沖縄基地を、10年間ぐらいは南の方の基地であっても、返さない。「またはその後」返すことがあるかもしれないというくらいの方針である。辺野古移転には、沖縄の南北問題がある。嘉手納以南は人口密度が高い。辺野古移転は沖縄の北地域の開発計画と組み合わさっている。やんばる地域の展望に、将来構想に、迷惑施設である、米軍基地の誘致の見返りを考える。

小田原でも私の住んでいる地域は、迷惑施設が集中している。その一つに火葬場があるが、必要だがあまり歓迎されない。本来であれば平等に配置すべきだが、何故か弱い地域に来てほしくない施設が集中する。弱いというのは、産業の展望とか、地域の将来像とか、政治的にとか、人口比率的にとか、要因は様々だが結果がそうなっている。国全体として、基地をどうするかを考えるべきだ。必要だとするなら、日本全体で分担すべきだ。自分のところに来るのは嫌だが、基地は必要だという考えは、あってはならない。火葬場は広域の斎場になるという。そうであるなら、ごみ焼却場や、灰埋め立て場所はどこか他に移転すべきだ。沖縄には大きすぎる負担を課している、本土全体がひどすぎないか。今回の普天間移転をせめて県外移設と主張する、沖縄の声は全く正当なものだ。これを、聞こうとしないことは恥ずかしい。

沖縄の負担軽減のために、嘉手納基地を除いて、それより北の基地をなくすというのはまず一歩である。10年かかるというのだから、それを先行させる。そのうえで、普天間の移設先を国が模索する。韓国に移設したらいい。韓国では北の脅威が高まっている。米軍を受け入れたい気持ちが、ないとは言えないのではないか。もちろん、韓国の考え方次第ではあるが。共同防衛ということで、財政的に応分の負担を負えばいい。そういう交渉をしているとも思えない。政府の本音は沖縄で我慢してもらって、そこに基地を置いておきたいのだ。名護市のホームページには、故郷納税者一覧が出ている。納税した方のコメント欄には「基地反対で頑張ってください。」など載っている。私も今年からは、名護市に故郷納税をしたい。

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