日本の外交姿勢
中国との競争に焦りを感じている日本人。「脱亜入欧」「富国強兵」の明治精神から今だ脱皮できていない日本人の姿が浮かび上がる。東アジアに位置する一国として当たり前に、存在することを大切にすべきだ。中国や韓国を蔑視するような思想は、日本人の一番弱い情けない部分の裏返しである。中国の進出を恐れ、日米同盟を強化するという考えは、早急に止めなければ世界の孤児になる。パレスチナ問題では、イスラエルを支持するのはアメリカである。イスラエルは徐々に世界からの支持を失いつつある。日本がアメリカの虎の威を借る狐になれば、そのずる賢さだけが浮かび上がる。世界はアメリカの正義をパワーバランスだけで考えている。日米同盟が、中国に不都合なものであれば、その批判は日本に集中する。アジア各国に対し、中国と綱引きはしない方がいい。安倍外交はアジアとの経済連携を考えているようだが、そう簡単なことではない。
経済の為にアジア諸国を有利に利用しようという戦略が基本にある以上、結局は実を結ばない。中国との過去の関係を見れば明らかである。経済とは別の価値観で外交をしなければならない。尖閣問題を日本固有の領土だ、疑いもなく日本人が住んでいたのだ。こういう説明のない論理は世界には通用しない。世界の目から見れば、日本は明治以降帝国主義的侵略国と見られている。この自覚がないのが日本人である。事実はどこにあるかではなく、世界の見方はナチスに対する見方と同様に、自らを省みずではあるが、日本帝国主義を迷惑なものと考えている。世界世論は侵略された弱い中国に同情が集まる。従軍慰安婦問題、南京大虐殺キャンペーン。事実云々ではなく、そちらのアピールが通りやすいのである。中国と日本が対立すればするほど、中国の正義が世界の常識になって行く可能性が高い。力のあるアメリカが日本を支持すれば、するほど日本の孤立化が深まる。
アメリカは中国との関係の強化を考えている。中国と対立する道を選ぶはずがない。経済戦略上中国はアメリカにとって大きすぎる存在である。これから先日本の存在よりも、経済優先の社会においては重要である。安倍氏の最初の訪問先をアメリカにしたかった所を、拒否していることがその表れである。中国の外交戦略は優れている。日本のように島国で、外国と言うものとの接し方がわからい国とは違う。諸葛孔明ではないが、巧みな外交戦略のもとに、世界進出を計っている。対立を深めて行くことは、日本の選択すべき道ではない。日中友好こそ、日本と中国の利益である。何故日中の対立が深まったかと言えば、中国の経済発展に従い、日本との関係を変えたくなっているのだ。安い労働力を目当てに進出した日本企業の存在は、国内の成長企業にとってマイナスになり始めている。まして、世界での競争を目指している中国としては、市場としてだけ見ている日本企業は、中国にとってマイナス要因である。
日本独自の外交戦略を持つ必要がある。もしアメリカが居なくなったとしたらを考えておかなくてはならない。外交には、多様性が必要である。アメリカと付き合うとしても、中国と対立することは日本にとって危険なだけである。中国国内の不安定要因に期待するような見方は愚かなだけである。あるいは北朝鮮の崩壊への期待。こうした近隣諸国の崩壊への期待は、日本人の自信のなさの裏返しにすぎない。今にも崩壊すかのように評論する人もいるが、それは大衆迎合的なマスコミの態度である。期待にこたえて勢いで発言しているにすぎない。アジア諸国の成長の可能性は、日本よりどの国も高い。中国の中にある不安定要因に対して、日本が協力して行く位の姿勢が必要である。中国との対立は日本の孤立である。中国を中心にした東アジア共栄圏を国辱的なことと考える日本人は、変わらなければならない。