笹村農鶏園の12ヶ月

   

毎年、元旦には一年の農作業に思いを馳せる。一番楽しい時である。あれもやりたい、これもやりたい、さてどれに絞るか。希望は尽きないことである。冬至を過ぎると、やるぞの気分が徐々に湧きだしてくる。長年鶏と過ごして来たせいかもしれない。つい先走って、正月休みという気分になれない。生き物がいれば、一年中絶え間なくたゆまずが、身体に沁みついている。書き初めの前に、既に鶏糞の袋詰めを始めている。早く田んぼや畑に撒いてやりたくなっている。冬の作業こそ、土づくりの基本だという気持ち。落ち葉を随分、畑に敷きつめた。すぐ風に飛ばされてしますが、作物が寒さうに見えて仕方がない。落ち葉や枯れ草を入れる。そうしたものを鶏小屋に入れてやり、堆肥化した所で畑に入れてやる。堆肥は上から上から足してゆく。まだ正月だから、作業より、一年の計を考える。

昨年は暗い気持ちがまだ継続していた。徐々に心身とも回復基調にある。前向きに一年の農作業計画を立てたい。100坪、1時間の自給農業は、完成に近付いてきた。10年以上繰り返し、達成していることだから、誰にも責任を持ってお勧めできる。この事を日本の自給で考えて見ると、日本全体で笹村農鶏園方式の自給農を行うと、一人330㎡×1億3千万人で429万ha必要という計算である。日本の耕地面積は500万ha。日本は有機農業で、食糧自給できる国土の国である事が分かる。みんなが毎日1時間農作業をする国は、健康増進にも良いだろう。こう言うと大半の人が信じなかった。信じないならやって見せようと言うのが、「地場・旬・自給」の笹村農鶏園である。20年やってきて実証出来ている。公開しているので、見学してもらっていい。1日1時間は20年前は2時間だった。技術の進歩である。継続することで土壌が良く成ってきたのである。コメ、麦、大豆、お茶は共同である。野菜や鶏は庭先である。

米は120キロである。4人が1反を行えば可能である。作業は月1回の12回を基本。小麦は1反で、20家族が可能。月々10キロ。作業は5回。大豆は1反で300キロで、40家族が可能。作業は7回。お茶は1反で50家族が可能。作業は3回。野菜は庭で作るのが良い。コンテナ栽培を取り入れると良い。ビニールハウスがあるとなお良い。鶏は家族の数飼うのが良い。肉と卵である。鶏糞が堆肥を作る材料になる。これらを達成するには技術である。自然に即した農業は見る力が重要である。私は絵を描いてきたことが、植物や土壌の変化を感じる力に生きてきたと思う。去年と違う葉の色の違い、土壌のかすかな変化を記憶している事がある。その蓄積で、草のコントロールが出来るようになってきた。田んぼでも、トロトロ層が厚くなれば、コナギやオモダカは出にくい。水が8センチ以上あれば、ヒエは出ない。草を出さない技術が確立できれば作業時間は半減する。自給農業技術が確立できれば、耕作時間は半減する。

野菜については、周年確保が一番の課題である。端境期を減らすためには、ビニールハウスの利用が必要である。サンルームがあればその方が合理性がある。私のところでは、猫と犬がサンルームを占拠していて、植物は排除されている。今の時期ハウスを有効利用するには、石垣との組み合わせが良い。石に蓄熱をすると、夜の冷え込みを幾らか緩和できる。踏み込み温床を組み合わせた方がいい。踏み込み温床の材料は苗土の材料にもなる。キャベツなどは、丁寧に作れば周年栽培できる。狭い庭先の畑を高度利用するためには、苗作りである。ハウスで時期をづらしながら苗を育成しておく。畑が空くのを待っては植えて行く。トマトなどは夏のハウスの空いた時期にハウスで作る。12月までトマトが収穫できる。今年の課題はタマネギである。年1作なので、冬の間に1年分作らないとならない。案外狭い所に密植できるのだが、土壌環境を選ぶようだ。タマネギもグループ栽培の方が合理性があると思う。

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