野田政権はすり替え政治
政治は消費税問題になっている。昨夜の記者会見でそのことだけ長々と述べていた。私の中では消費税は5番目のテーマである。1番は当然大震災からの復興と、原発事故の収束を含めた、新しいエネルギー政策である。2番目は、TPPを含めた、日本の経済のこれからのあり方である。そして、3番目が日本の社会福祉政策を含めた、格差社会離脱の再分配のことである。4番目が、地方分権を含めた、政治の枠組みと行政のあり方を決めること。そして、5番目になって税制の改革である。この前提となる4つに対して、目をつぶったまま、5番目の課題に政治生命をかけている野田政権の、見当違いにいら立ちが募る。消費税はその前提となる、4つが定まらない限り、どうやった所で末節のことである。確かに、根本の問題は民主党政権の能力では、手も足も出ないのであろう。立ち向うどころか、まるで気づいていないごとく、消費税と力んでいる。
野田政治に耐え難いことは、何も判断を出来ないことである。復興の全体を見通す大計画が無い。枝葉末節に捉われて、瓦礫片付けに捉われて、東北全体をどうするのかということは、考える姿勢もない。結局のところ、日々の日常に追いまくられて、展望というものを持つことが出来ない。議論になれば一見正義の正論を唱えるのだが、混沌の中にある現実には向かい合おうとしない。自然エネルギーはどうするのか。原発はどうするのか。根本には目を向けず、再開という既定路線の為のストレステストがどうだこうだと、曖昧さを増してゆく。政治について意見が違うのは、当たり前のことだ。根本的な違いを棚上げしておいて、原発再開云々になる。つまり、現状で将来のエネルギーを問題を議論すれば、反対が多そうだ。棚上げして、今ある原発の安全論議程度にしておこう。こうした、本質からずらした論議がすべてを考える上で、耐えがたく、空しくしている。
政治生命をかけて消費税を持ち出しているのは、4つの課題を棚上げするためとしか思えない。本質的でない所で議論を蒸し返し、肝心の事には一向に触れない。こういう政治の現状が耐えがたいのである。昨夜首相自身、明確に事が動き出さないことが国民の政治不信になっていると主張した。そう言って自民党を揺さぶっているのだろう。しかし、消費税が動き出した所で、税の一体改革はまだ道遠しである。連動するはずの福祉政策や公務員の経費削減など、議論が遅れている。このカエルの面のような、何にも答えないでそっぽの正論を述べる厚かましさが、もう耐え難い。北朝鮮の手法に似ている。食糧援助を引き出したとたん。ミサイルを打ち上げる。これは衛星である。衛星がいけないなら、お前たちも止めろ。こういう正論である。原子力爆弾をやめさせたくて、食糧援助したいのはお前の方だろう。という具合に問題の核心が動いて行く。
原発の良しあしの問題が、いつの間にかロケットかミサイルかの議論になる。消費税を2段階であげるとか、景気が悪くなれば止めるとか。民主党が徹夜で何日もかけて議論した意味はあるのか。本当に議論すべきは、前提となる4つの課題が問題があって、その議論を尽くした上の、具体策なのだ。もう一度確認すれば、1番は、大震災からの復興と、原発事故の収束を含めた、新しいエネルギー政策である。2番は、TPPを含めた、日本の経済のこれからのあり方である。そして、3番が、日本の社会福祉政策を含めた、格差社会離脱の再分配のことである。4番が、地方分権を含めた、政治と選挙の枠組みと行政のあり方を決めること。どう考えても消費税より重い。これらがすり替えられ、議論さえされずに、時間稼ぎだけ。耐え難い野田政治状況なのだ。