農業基盤整備事業

   

農業基盤整備事業について「水は命の源であり、土は豊かな恵みを与えてくれます。」この水と土を相手に、自然との共生を図りながら営まれている農業を支援するため、水田で必要な農業用水を確保するためのダムや堰の建設、営農条件を改善するための水田、畑の整備、農産物などを運搬するための農業用道路の整備、農村の環境整備などを行っている事業の総称です。農業農村整備事業は、農業生産の基盤と農村の生活環境の整備を通じて「農業の持続的発展」「農村の振興」「食料の安定供給」「多面的機能の発揮」の実現を図るための施策です。食料自給率の目標達成の前提となる食料供給力の強化には、農地・農業用水の確保、担い手の確保・育成、農業技術水準の向上が不可欠で、そのためには農業生産基盤の整備が重要です。

上記の文章は農水省の実に立派な非の打ちどころのない農業基盤整備事業に対する見解である。そう皮肉を言いたくなる位、この政策の建前と運用の実際の乖離。その結果農業者の減少。耕作地の減少。農村の衰退、消滅。自給率の低下。この政策が失敗をしている事だけは、結果から確認できる所である。

神奈川県の具体的な指針。
農道整備事業 :農産物の集出荷作業の省力化及び流通の改善とともに、畑地帯や樹園地の農家経営の近代化及び省力化を図るための、複数の市町村にまたがる基幹的農道や、幹線農道及び支線農道の農道網を整備する。また、既に整備を行った農道の機能向上や安全対策の確保等を図るために必要な整備を実施する。
実施地区名:広域農道整備 小田原湯河原線(小田原市、湯河原町、真鶴町)

この広域農道の真っただ中にあるのが、今売却で取りざたされている小田原市所有の土地建物、ヒルトン小田原である。これこそ日本の農政の矛盾の象徴だと思う。みかん減反の見返りとして誘致された厚生施設建設。その破たんから小田原市の買い取り。外国ホテルへの賃貸し。そして、農道としての周辺道路の整備。事業の効果の検証を行う必要がある。小田原では観光やリゾート開発や廃棄物輸送が主目的とされている道路である。この道路の使用目的は、海岸沿いの道路の慢性的な渋滞の解消が、主目的と考える人が大半だと思う。そして、観光道路としての期待。この広域農道が農家経営の近代化につながるとは、誰もが考えていない。片浦地区の農業の将来展望が示されないまま、広域農道だけが建設されている。それは山北から、小田原に至る広域農道も農業に対する効果は殆どなく、周辺農地の減少が目立つ現状に見える。公共事業が建設業者とそこでの雇用の為に行われている現状。農水官僚の作文の美しい建前と、農業の空洞化。

広域農道が不要と言うのではない。農道を作る前に、その地域の農業の展望を農業者を含め十分に作り出す事が先である。その将来展望に基づき、農道は作る。農業展望の、一切の話し合いもなく。「農地の宅地への転用が出来るかもしれない。」「観光客が来てくれるかもしれない。」「リゾート開発が行われるかもしれない。」こういう、あやふやな期待感を背景に、工事が生み出され、周辺の建設に伴う、利益誘導だけが進んでゆく。すでに、工業団地の時代は終わった事は誰にでもわかる。工業団地は日本国内では成立しなくい時代。宅地開発しても利益の出ない状況。人口減少とより都市近郊での大型マンション建設。これからの社会状況で、当たり前のリゾート地が難しいことは、伊豆全般のリゾート地を見れば一目瞭然ではないだろうか。次の時代を見据えた展望を、地域に暮らす者自身が行うことが何より重要なことである。行政はそのリード役を担う場面だ。受け身の事なかれでは、事態の悪化は目に見えている。

政府はTPPに伴い、30から50ヘクタールの大型農家を展望としている。小田原で言えば片浦地区で1農家になる。そのような政策は無意味である。では小田原の農業は潰せばいいのか。と言うことになる。その場合農地を転用して、何をどうして行くことが地域の将来の為に成るか。十分議論しなければならない。私の意見は相変わらずであるが、自給農業の展開である。片浦地区の風光を生かした、農業と住宅の適度に配置された地域の形成である。傾斜地を生かした配置、農地を住宅周辺に作る。駐車場を限定し、地域内には電気運搬車のみ。駐車場と根府川駅間はカーシェアリング。共同のビニールハウス。共同の水田、小麦畑、大豆、果樹園の設置。土地所有は地主が出資者となる社団法人。個人利用者すべてに賃貸する。その為の法整備、環境整備が行政の行うべきことだろう。

昨日の自給作業:田んぼの整備、畑の整備2時間 累計時間:6時間

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