腐葉土のセシューム

   

江東区内の集積場の腐葉土が、国の暫定規制値、キログラム当たり400ベクレルを超える、789ベクレルのセシウムが検出された。有機農業では堆肥や藁の利用が重要な技術である。今回出た、江東区の剪定チップのセシュームの測定は参考になる。お茶が高い値を検出したのと同様で、常緑樹の枝葉には相当高い値の放射能が蓄積されていると考えられる。3月半ばから月末までの樹木の状態で、放射能は大きく変わる。スギやヒノキは木の上部の放射能汚染が強く、樹間の土壌汚染はそれほど高くない。しかし、落葉樹の林では落ちていた腐葉土が強く汚染された。お茶の状態から想像されていた所だ。江東区の腐葉土(堆肥?)の値は、実は思っていたより低い。たぶん堆肥化が進んでいないのだろう。お茶の状態から見て、1000ベクレルを越える値を予測していた。江東区の下水汚泥からは、16000ベクレルのセシュームが検出されている。江東区のごみを処理する江戸川焼却場の焼却飛灰の値は、8000ベクレルを越えている。

堆肥化するということは、焼却すると同じような濃縮が起こる。お茶の場合、生葉の5倍に乾燥され,荒茶で5倍の放射能の値になる。堆肥の場合は10倍から50倍くらいの濃縮が考えられる。加えて、大気や水から吸着しやすいという性格もあるようだ。小田原でも久野小学校と片浦小学校にあった堆肥から、セシュウムの合計値がキロ700ベクレルと言うことである。当然のことで、落ち葉を集積するということは、相当の濃縮を覚悟しなければならない。焼却灰や汚泥の焼却灰はさらに高い値が出ている。特に、3月後半に直接降りかかり、吸収してしまった、常緑樹の枝葉は間違いなく高い。多分ここ数年高い値が続くはずである。しかし、段ボールコンポストに出なかったことは、食べ物の汚染の低さを表している。有機農業を行うものが、堆肥を入れ続けて畑で放射能濃縮が起こるようなことは、間違ってもあってはならない。しかし、腐植質を入れないで有機農業を続けることもできない。

現状の放射能の測定が先である。土壌が200ベクレル以下なら、土壌の反転を丁寧に行えば、作物の耕作と言う意味では、3分の1くらいには下がるはずである。その上で、緑肥を作る所から畑の土壌をやり直す。土壌にある放射能をその場で、そのままにして管理して行くと言うことになる。緑肥の腐植質が、セシュウムの移行を遮る可能性がある。放射能を取り除くと言うより、上手く付き合ってゆくということになる。土壌中の放射能が作物に移行しないためには、土壌にパーライトやバーミキュライトを加えると良いらしい。100リットルで2000円位だから、1反に10㎥入れるとして、20万円となる。せめて野菜畑だけでも土壌改良と思い、1㎥位は入れようかと思い買ってみた。これで1平米に1ℓと言うことだがいくらかの効果はあるだろう。それでも入れないよりはいい。できるだけ深くプラウ耕をして、その上にパーライトを加える。

堆肥と言っても段ボールコンポストでは、不検出であった。つまり、食べ物への移行は、落ち葉やチップなどとは比べもにならないくらい低かったということである。これは不幸中の幸いである。4月以降空中の放射能浮遊物は急速に減っている。その後に生育した葉物は、殆ど検出されていない。移行計数が予想より一ケタか2ケタ低かった。土壌の組成の御蔭らしい。今後は、落ち葉はまず使えないと見ているが、小田原の山の落ち葉の測定を行うつもりである。11月には出来ることになっている。玄米を測定することで、藁への移行も把握できるので、これもできる限りやってみたい。今日の情報ではお茶については、だいぶ数値が落ちてきたようだ。荒茶にして300ベクレルを切ったらしい。と言って売れるかどうかは別物だが、一つの指針になる。落ち葉はしばらく使わないということになる。

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