自給農業の時間
今まで20数年自給農業を行ってきた。この間何度か農作業にかかった時間を計測してきた。この3年間の記録が蓄積できたので、中間的にまとめみる。
2008年が一年間の合計が302時間。2009年が304時間。2010年が296時間。一番忙しいのが10月である。40時間はかかるようだ。一番少ないのが、12月で10時間程度である。記録抜けがあるにしても、一日1時間働けば食糧の自給はできる。このことだけは確かなようだ。一日1時間とは週に一度7時間働くという方が実態に近い。この3年間で一番長いのが、2009年の11月で44時間。一番少ないのが、やはり2009年の12月で4時間。11月に麦の作業をやり切ってしまったということだろう。その年の気候の影響と思う。以前、山北で時間を計測した時は一日2時間というところだった。若くて2時間働いても何でもなかったということが大きい。自給の技術が不十分だったこともある。さらに環境が今に比べて格段に悪かった。土づくりにばかり時間がかかった。時間をかけた割に収量も少なかった。しかし、条件が悪いとしても、2時間働けばできるということである。
それでは面積的にはどうなるか。一人100坪というのが今の実感である。二人分を作って、150坪というのが実態である。これは田んぼから畑まで入れてである。広すぎても手間が案外に無駄になる。狭いところを合理的にやる方がいい。と言っても家族5・6人なら、500坪はいらない。1反300坪あれば十分である。農業は一人でやる方がはかどる場合と、大勢の方が良い場合がある。同じように、10坪でやった方がいい作物と、2反を10家族でやった方が良い、田んぼのような作物もある。麦も同じだろう。1反位はまとめて作った方が楽である。共同の農作業にする作物と、庭で作る作物を分ける。果菜類を代表するような毎日通りがかりに作業するのが一番時間がかからないものもある。このあたりの組み合わせが、大切なようだ。5人家族が、1反の耕作地で、家族で自給の為に1日働く。
いずれ、自給農業は技術的な要素が大きい。狭いところで何でもやるのだから、普通の農業よりもややこしい。頭の中に、作業の手順がしっかりと入っていなければ、混乱して良い耕作にならない。昔なら、普通に誰でもやっていた技術である。作業を複雑にしない。麦と稲を重ならないように調整する。その意味でも苗作りが重要な技術に成る。苗作りのためには、小さくとも良いからハウスが必要である。ハウスがあれば苗作りが楽に実現する。苗を作ることで、畑の面積を30%は小さくできる。前作を片づけて、土を整える時間がとれる。入れたたい肥が落ち着いてから、植え付けることが出来る。天候の変化に対応が出来る。草との駆け引きが、合理的に調整できる。ハウスは陽だまりで、石垣を利用して作ると冬でも冷えない。急激な温度上昇も緩和できる。踏み込み温床を使う。加温と苗の免疫力を高める技術である。一年中野菜が切れないように、端境期対策と保存食の工夫。
自給農法は自分農法である。一日1時間の自給で大切なことは、こだわらないことである。足りなければ買う。食べたければバナナも買う。余ればうまく余所に回す。原理主義者にならないことである。おおよそで考える癖をつける。そうして大きな方角は間違えないこと。やりたくてやっている1時間は、楽しくて仕方がない。あくまでこれは目標で、慌てないことである。自分のやり方に適した土づくりも早くても3年はかかる。どこかで誰かがやっているという、他人の農法に引っ張られないこと。自分の感性と生き方に適した自分流の農法を見つけるつもりで、揺れ動かかないこと。どんなにいいという農法も、10年間やってよい成果が出ているかを確認して、それでいいのなら取り入れて見る。いずれ自分が食べるものなのだということを忘れない。
昨日の自給作業:草刈り1時間 累計時間:1時間