生ごみたい肥

   

たい肥を定義すれば、「有機物を2カ月から3カ月かけて、微生物が十分に有機物を分解したもの。」ということになるだろう。微生物に有機物が食べられ、発する熱で、完全に有機物が分解され、畑にそのまま使っても、すぐに種がまけるような状態のものを指す。生ごみを1日か2日電気の熱で乾燥させたものが、最近、たい肥と言われている。たい肥とはそういうものではない。ただ乾燥させた生ごみを畑に入れる事は、とてもリスクがある。肥料効果が上がることもあるが、土壌を撹乱させて、害虫を呼ぶ原因になることもある。現在、地域の取り組みとして、報徳小学校から出る、生ごみの乾燥物を、再度たい肥化する試験を行っている。と言っても正直その時間も費用もないので、適当なことしかできない。いわば預かり状態と言ってもいい。来るものは、チョコレート色をした、とても細かい粉状のものである。現在、100キロほど取りに行った。

本来、チップ4にたいし、乾燥生ごみを1で、摘み直すといい。ということであるが、チップを取りに行く時間もないので、この際仕方がないので、たまたま家にあるそばの糠と混合し、水を加え積んである。撹拌も十分ではないし、良い状態とも言えないが、それなりに進めている。本来、こういうことに行政が費用をとっていない状態ということは、理解しがたいのだが泣き言も言ってられないので、私が引き受ける以外に道がなかった。乾燥生ごみの状態をみると、焦げた皮状のものが結構ある。これは機械にこびりついたものか。あるいは西瓜の皮のようなものか不明である。いくらかビニールが混入している。私のところにある撹拌機に、生ごみそのものを運び込み、糠と混ぜながら時間をかけて、撹拌して行けばいいたい肥になるだろうと思われるから、今回のやり方がいかに不自然なものか良く分かる。

実は、この事業の流れをこの道の専門家の方に伺った。ジャパンバイオファーム代表 小祝政明さんである。一緒に中国に行ったので面識があったので、農文協の集会でお会いし、これ幸いといろいろ質問をさせてもらった。電気で乾燥させるなどとんでもない。そのまま利用したほうが、はるかに処理しやすい。こういうことだった。電気で乾燥させたものを再度発酵させるということが、いかにばかげているか。場合によっては重要な微生物が、死滅させられている可能性。あるいはミネラルが結晶化している可能性などを挙げられていた。その先のことは興味もないという感じで、立ち話の範囲でもあり、それ以上は聞けなかった。中国の発酵処理を一緒に見学しながら、小祝さんは大規模のたい肥化を深く理解されている。と直感した。鎮江香酢で見た除雪車のような機械の原型は、ドイツ製だそうだ。2~3000万円くらいはするとのこと。

畑を良くするたい肥作りは、本来とても難しい。簡単にできる事ではない。化学肥料のように、3要素を作物の栄養分として、入れるような発想は根本から変えないとならない。それこそ土壌汚染になったり、病害虫を呼ぶ原因を作ることになる。この点では、自然農法のいう無施肥の考え方の方が優秀である。しかし、地球の循環を考えれば、良い形で土壌に糞尿を返すことも必要である。自然農法をやっているからと言って、糞尿をしない訳ではない。良いたい肥をどうやって作るか。畑を害しないたい肥をどう作り出すかは、作物をどう育てるかとは別の意味で大切なことである。たい肥など入れなくても良くできる、ではなく。たい肥を入れられる畑をどう作り出すかである。このほうが人類にとって重要であろう。早くチップを取ってこなくてはならいだろう。

昨日の自給作業:田の草取り1時間 累計時間:26時間

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