種牛49頭の殺処分

   

悲しいことに殺処分が終わったそうだ。対岸の火事ではない。鳥インフルエンザが再流行すれば、同じことが待っている。ああ出てきたか。と言うのが同業生産組合の3団体からの抗議と、殺処分要請。宮崎のJAの代表も殺処分を要求している。こういう中で種牛を作り出してきた人が、断腸の思いで殺処分を決行した事だろう。辛い事である。間違いの最初は、鳩山氏が赤松氏に農林水産大臣を任命した事だ。農業の門外漢。労働組会運動から出てきた人だ。鳩山氏は農業分野の特殊性が分かっていれば、民主党が取組む最大の懸案として、党内の農業畑の人を選ぶべきあった。人が居ないわけではないと聞いている。自民党以上に農業政策に精通している人がいると、ある方から聞いて、それなら期待できると思っていた。ところが、門外漢の赤松氏だ。先入観が無いから思い切ったことが出来る等という、意見もあったがこの結果だ。

事が起こる前の事だ。現在、鳥インフルエンザはどうなっているのか。それに対して国内はどういう体制で対応しているのか。終焉に向っている空気である。当面日本に現れる事はない。私もそう言う認識である。本当の所はどうなのだろうか。笹鶏の種卵ぐらいは、地域外に保管しておく必要があるのかもしれない。その価値があるかどうかはまた別であるが。どこかに専門家がいて、目を開いてリスク管理をしていてくれないような気がしていたが、そう言う事はない。体制がまったく無いというのが、宮崎の口蹄疫でよく分かった。事が起きてからの事も問題があるが、天災でも、人災でも、起こる前にどう予測して、目を見張るか。種牛の飼育体制がだめだった。保全のための充分の管理がされていなかった。今回の事件を反省して、種牛の保全体制の組みなおしは必ず実行して欲しい。そして、分散する事。産地化の方向を反省する事。結局、宮崎県の畜産がまずいと言う事になる。

気になるのが、生産3団体の抗議行動。もう一つは不明、全国肉牛事業協同組合と日本養豚協会と言う団体が、どうにもならない団体だと言う事が分かる。「犠牲を強いられた生産者に対する裏切り行為だ。」なぜ、こういう場面で、こういう発言が出てくるのか。宮崎ブランドが崩壊すれば、自分の所が利益がでると言うことと考えると分かりやすいか。この二つの業界団体が、きわめて政治的な団体である事は想像がつく。農水の要請があるのだろう。宮崎県への怒りはあるが、赤松大臣の罷免要求がない。責任者は農林水産大臣である。これに触れないでどうする。業界団体と政界の腐れ縁。こういう政治的動きがことの本質を見失わせる。オマケに5頭の特例の観察経過の種牛も早急に殺せと、発言している。それなら、特例を認めた赤松大臣を問題にしないでどうする。

特例の5頭は2日現在でまだ感染が見られない。感染が分かった1頭と同じトラックで運び、同じ牛舎で飼われていたのだ。口蹄疫の感染力という物の、何か不思議がここにある。これを充分に研究して欲しい。殺してしまえば何も分からなくなる。今回お金をかけても隔離管理ができる状況である。何故感染しなかったかが分かれば、貴重な情報である。5頭の保全に特例の理屈はつく。鳥インフルエンザでもあれほどバタバタ死んでゆく中で、感染しない鶏がいる。そういうものである。この感染しない鶏はとても重要な免疫を持っているかもしれない。何万羽の内から選抜されたものだ。これを淘汰してしまうのは、研究材料としてもったいない。実際そういう研究をしている製薬会社はある。殺すなど最後の手段だ。モラルハザードを起こすなど、平野官房長官の発言が空虚に響く。迷惑なものは排除する。これの方がモラルハザードだ。

 - 自然養鶏