土壌勉強会
小田原有機の里づくり協議会で、本格的な土壌調査を行った。実証圃場に関しては簡易検査で、一箇所だけは本格調査という物を、やってみる必要があると言う事になった。相当の出費になるが一度はやってみて、土壌調査で出てきた数値をこの機会に勉強しようと言う事だった。今までも、何度も教わる機会はあったが、どうも腑に落ちるところまでは分からなかった。連続してやってみても、どうも数値のブレが大きくて、数値そのものの信頼性がどの程度あるのか、疑問があった。今回の調査はMOAの調査機関に依頼して、分析を行った。結果がどうであれ、結論の方は、「何も入れないで良い。」という話に違いないとは思っていた。やはりその通りで、入れないでいいばかりの繰り返しで、それなら分析など要らないと思う。やはり依頼先が間違っていた。有機農業にも様々ある。MOAの農法に優位性があるわけでない。MOA農法は原理主義の傾向が強い。
4つの団体が協力して進んでゆくためには、MOA農法の普及を間違ってもここでやるべきではない。必ず、対立して崩壊する。これは農の会の中でも、リスクが潜在的にある。それぞれ違うものから学んでいて、対立する考えはいくらでもある。一人が自分の農法の優位性を押し付けるような事があれば、簡単に崩壊する。良い農産物があれば、学びたいものは学ぶ。MOAの農産物に学ぶものがあるなら、隠していても教わりに行く。なぜ、MOA農法が広がらないかを充分考えてもらいたい。正直それほどの農産物が無いことは、20年を超えるかかわりの中で見てきた。理屈や観念でなく、現実の生産物が全てである。MOA大仁農場の養鶏が、笹村農鶏園以上のものであるなら、大いに学びたいが、正直レベルは高くない。一部の名人が見事であったとしても、誰でもが学んでできる農法に整理されていないのでは、意味がない。
具体的には土壌に含まれる腐食の事が気になる。クロボク土だから、腐食が多いいので、堆肥などで腐食を加える必要が無いという考えが説明された。腐食の量は土中の炭素量に1,734?の係数をかけると出る、と教えていただいた。しかし、クロボク土にある腐食はアルミニュームと結びついていて、利用できないと言うのが一般的な土壌学である。リン酸が多すぎると分析から言われていたが、これもクロボク土ではアルミニュームと結合して使えなくなっていると教わっていた。リン酸でも、腐食でも、見かけで現れる数値と実際の栽培で利用できる数値とでは違うはずである。この部分の見方、考え方に、農業というものの思想が現れてくる。クロボクの腐食の起源はイネ科植物らしい。火山灰が降り積もった後、ススキ原のようなものが数百年数千年続いて、腐食が溜まる。それは数万年前の事である。ここで蓄積された炭素量に基づく腐食は既にアルミニュームと結びついている。最近数百年の範囲で入った腐食とでは、植物の利用する腐食と言う意味では異なると、考えたほうが良い。重要なことは、新しい腐食の量である。
リン酸も植物が利用できる形のリン酸がどの程度土壌にあるか。可給体リン酸というらしい。この量が少なければ植物は燐酸を吸収できない。アルミニュームと結びついたリン酸の全量が多いいのは、クロボク土なら当然の事である。この辺りの議論をきちっとしたかったのだが、どうも歯車がかち合わなかった。数値という物は、解釈である。あくまで自分の育んできた農法を分析するものとして、取り扱う必要がある。その畑で取れた農産物や、植物の状態をもう少し、土壌分析値と照らし合わす必要がある。食べておいしいと言うような主観的なもので無く。土壌が数値が、どう生産物に現れるんかを、細かく分析してみないと、一度の土壌の分析結果で、充分上手くいっている農法の方向まで変更するのは、とても危険だと思う。その圃場の生産者以外、誰も責任は取れなのである。