立春大吉

   

本日立春なり。『立春大吉』とでかでかと張り出してある。恒例である。こう言う字がすきなのである。こう言う字とは、左右対称の字。堂々としていてとてもいい。意味も何となくめでたい所が良い。ついでに、南山晴 北山雨。とか天気予報らしきものも張り出す。山小屋に住んでいる気分である。昨日が節分。季節の分かれ目と言う事で、今日から春と言う事になる。但し、旧暦の正月は14日でまだ先の事である。節分なら豆まき。豆は大豆である。大豆で鬼退治は平和で良い。大豆100粒運動というものが、各地で広がっている。節分に併せて、イベントもあったようだ。100粒の大豆をみんなで蒔く。これを畑に植えて、までは良くある。これを味噌醤油にする。ここまで進めると、自給の意味が見えてくる。農の会では味噌の仕込が終わり、今度は醤油の仕込である。節分には柊にいわしの頭。いわしの頭も信心からで、信心嫌いには縁がない。

農作業が始まる。田んぼの肥料播きが最初。7日に予定している。身体もどこと無くうずうずしてくる。今年の田んぼの事では、何と言っても欠の上である。南側に川があるのだが、その川向こうに大きな木が茂ってしまい、日陰を作っている。14日に、その辺りの伐採もする予定である。これは、とても簡単にはできないので、しばらくかかる作業になる。畑の方も、養鶏場の下のみかん畑を1反借りる事になった。近い内に作業の進め方を詰めないといけない。みかんを切って、畑にする。イノシシがくるので、対策もしなくてはならない。踏み込み温床ももう一度仕立て直しをして、いよいよ種蒔きである。ピーマン、ナス、キャベツ、ブロッコリー辺りからはじめる。今年は、箱蒔きにする予定。鉢上げをしないで、畑に植えようと思っている。

育雛の方も取り掛かる時期が来た。孵化を今年は止めようかと考えている。何かヒヨコを購入しようかと思っている。何がいいのかも良く考えなくてはいけない。養鶏を止めるのにいまさら、ヒヨコでもないだろう。と言う事になるが、自給園での鶏の存在は不可欠である。一番簡単な鶏の飼い方の流れを、おさらいしてみたいと思っている。誰もが孵化からやれるわけではない。いつの時期に、どこに雛を頼んで、どういう流れで育ててゆくか。ひととおりもう一度やって見たい。久し振りに千葉の方から、ひよこを入れようかと思っている。そろそろ、雛の小屋の準備はしなくてはならない。床の発酵から始める。稲藁を取ってきて、刻んで入れてみよう。床をいい状態にすることが全ての始まりである。

立春の厳しさも、このところの寒さで身に染みる。いよいよ始まると言う時が、一番寒い厳しい時期であるというのはすばらしい。向昌院は日陰の寒い寺で、立春の頃であれば、全てが凍り付いている。湧き水を汲んできて墨をする。摺っている墨が凍ってゆく。お湯を足さないと摺れない。おじいさんが毎年そんなことを言いながら、判紙を切る。紙はとても大切でしまってあったものを、厳かに出してきて、毎年の大きさに切る。切るのは今はもう見ない、折り曲げられた和バサミ。まだ農作業など、何も出来なかった。鶏の水もすっかり凍っていて、沸かしたお湯を持って行ってやると、みんなが慌てて飲みに来た。それでも健気に卵を産んでいて、今日は4つあったよ、と報告するのがとても自慢だった。あれから50年以上が過ぎてしまった。寒いと言っても小田原の暖かさは、格別である。東京では雪が降ったというが、小田原は霜柱ぐらいだ。そらまめや、絹さやは徐々に葉を伸ばしている。

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