有機農業モデル事業の廃止

   

事業仕分けの結果どおり、有機農業モデル事業の廃止が決まりました。勢いに巻き込まれたとばっちりの感はあります。農水大臣の記者会見では有機農業には全く言及もしていません。その他の廃止部門への配慮など全くありません。記者はくだらない質問を繰り返していながら、有機農業のことには触れようともしていません。どっちもどっちのレベルの低さにはあきれます。これも革命にともなう生みの苦しみならいいのですが。赤松農林大臣という門外漢が職に付いた不運です。廃止が判断されたのも、この能天気ではやむを得ないでしょう。5年という時限的なモデル事業です。それが途中で切られることで起こる、様々な迷惑がある。だから、補助金が絡むのは嫌だという所か。八ッ場ダム問題と同じで、止めるためのムダガネも中途半端になるムダガネもでる。

能天気といいたいのは、満額貰ったと語っている戸別補償のことだ。まず、お米の農家に限定されている。この制度欠陥の第一は努力していいお米を作る農家と、努力しない農家を逆転させる制度になっている。これでは、益々努力する事は馬鹿馬鹿しいと言う事になる。医療制度を壊した発想と同じである。努力した者が報われる形がないといけない。美味しいお米を作って高く売れば、補償はない。いい加減に作って、農協出荷していれば、安値で戸別補償となる。努力してもしなくても同じになるような制度が成功する訳がない。もちろんその他に減反の協力者や、農業共催の加盟者という条件で米作農家には1反1万5千円がでる。自給率が下がってしまった根本に触れないで、表面的な膏薬を貼るような、対症療法では、農業の基礎が益々腐ってゆく。これで、自給率が上がってゆく事に成るなど、到底思えない。

ではどうすればいいのか。ここである。第一は、農業をやりたい者がやれるようにする。補助金を5618億円も出すなら。新規就農者の支援をする必要がある。農業者を増やす事が先決である。農業技術の指導。普通に農業を始められる条件の整備。農業は初期に大きな投資が必要になる。土地を買わないでも安定した農業を経営できるような態勢を作る。農業のような一次産業は、それを行う人材の育成が第一である。農家が自分の息子を農家にはしたがらない。娘を農家の若者と結婚させたがらない。この原因を取り除くために、戸別補償制度では逆行である。意欲を持って、農業で生きて行きたい。こう言う若者を育てる国にならなければだめだ。第二は、自給したいという市民が誰でも農地を利用できる条件整備である。農地を資産として見ている大きな原因は、都市化と公共事業である。そうした宝くじのような期待が、間違ってもないような農地の制度を作る。

第三には、農産物を食糧を他の生産品とは、別のものである事を国民の合意にする。水や空気と食糧は同じである。食糧の輸入は水の輸入でもある。その国土で生産出来る食糧にあわせて、人口が落ち着くようにする。自給率を上げるなら、人口を半分にまで減らせばいい。こう言う事がテロ対策であることに気付かなければ成らない。オバマ大統領が叫ぶようにアルカイダを殲滅した所で、新たなテロ集団は必ず現れる。アメリカが核を廃絶し、武力を削減する。話は違うようだが、食料というのは、一国の安全と不可欠である。食が足りる。これが国際紛争の解決の第1歩である。境の飢餓が進んでゆく中、温暖化対策すら、足並みが揃わない。揃わないからあきらめる訳には行かない。中国、インドを説得努力をしてゆく以外、未来はない。その第1歩として、食糧の自給。話はすぐそれてしまうが、有機農業のモデル事業の廃止はいいが、有機農業の廃止でないことを願っている。

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