発酵飼料2
発酵飼料のもう一つの柱が、好気性の発酵を利用したものである。堆肥やぼかし肥料を作る手法と似ている。こちらの発酵は米糠や、ふすま、そばぬか、などが主となる。糠類は水分量を60%にすると、必ず微生物が増殖し発熱する。この発熱した糠に、利用可能な食品廃棄物を加える。そして再度発酵させる。発酵飼料全体の体積比率で言えば、好気性発酵飼料が75%を占めるので、たまごの味の決め手となる。美味しい卵を作る場合、発酵の手法、材料がとても重要になる。発酵を利用する事で、材料の生臭さを取り除くことが出来る。良い堆肥の発酵は1間×一間の量が最善といわれてきた。それは、酸素の混入の程度、温度の逃げ具合などから、畑に良い微生物を増やすには、その体積が重要なものであった。そして切り返しが重要である。何度も切り返し、酸素を送り込み、中で発生した、半嫌気性菌と外に移動し、増殖する好気性菌を入れ替えてやる。一般的には、攪拌機を利用して行う。手で作ることも出来ない訳ではないが、毎日これだけの量を攪拌する事は、労力的に大きな負担になる。
良い発酵はその土地にあったもの出なければ、その場所に菌がいつ居てくれない。地の微生物こそ、その土地土地で一番力を発揮してくれるはずである。微生物を購入して使うと、永遠に買い続けなければならない事になる。良い菌は地域にいくらでも居るものだ。林や竹薮の中に、白いハンペンのような菌の塊がある。こういうものが発生しているような、窪みのような土地を見つけて置く事。その場所は静かで、空気が清浄な感じがするはずである。そこの落ち葉ともども、糠類に混ぜて発酵させる。これを繰り返し増殖して、使ってゆくことが大切である。調子が落ちたならば、又最初から同じように、林から落ち葉と白い菌の塊を持ち込み再出発する。
私の実際の作り方。
米糠150キロ、に対し、くず米、くず粉麦、クズ大豆、クズ蕎麦の実。の穀類を50キロ程度加える。牡蠣ガラ7キロ。海草、杏炭、などを加える。500リットル以上の攪拌機に入れて、水分量が50%程度になるように調整する。攪拌機がなければ手で行う事は出来る。発熱さえすれば、水分量は少ないほど良い発酵になる。冬場は覆いをする、湯たんぽを使うなど工夫をする。水分は良い水がいい。良い水とは、岩清水のような水である。ここに海水20リットルを加える。発熱は60度を越える事を目標にするが、糠だけではそこまで上がらないのが普通である。熱は量と相関関係があり、量が多くなれば内部では、かなり上がる。発熱は上手く行けば24時間後には起きている。糠が古い、あるいは農薬を大量に使っている場合。あるいは水に塩素が大量に入っているなど、発酵には良くない場合、発熱が遅れる。発熱した飼料に、魚のアラ、鰹節のダシカス。など動物性たんぱく質を加える。温度はさらに上がり、60度を超える。この段階で60度を超えないのは良くない。蛋白分をおからで加えることも出来るが、あまりいいものは出来ない。温度を確認しながら、良く攪拌する。一度全体が60度を超えたら、後は徐々に40度程度に下げてゆく。鶏の体温にあわせて進める。
4日目辺りが一番いい状態になる。その後は40度を保ちながら、1週間で使えばいい。温度を上げすぎると、飼料としては消耗してしまい、栄養価が下がってしまう。良い状態かどうかは、臭いを記憶して、常に確認をする習慣が必要。そして鶏に与えて、一週間後の産卵率、たまごの状態を見る事。飼料は即座にたまごに影響をする。1週間餌として使い、最後に1割程度を残す。残したものを次の飼料の仕込みの種菌とする。今度はすぐ発熱するので、鰹節ダシカスなどは最初から入れていい。新鮮な魚のアラは最高の素材である。いい卵になる。しかし、養殖魚や、内臓は避けた方が無難である。抗生物質が残留している可能性がある。発酵は魚の生臭さを取り除いてくれる。濃厚な味わいと、白味まで美味しい卵を作る事が出来るが、発酵を失敗すると、魚の生臭い卵になる。製材鋸くずを入れる人がいるが、これは混入の質の悪い油が要注意である。