中干し、土用干し。
舟原田んぼのイネは7月中頃(田植え後35日と言われる。)になると分けつ数が最高となる。その後幼穂形成期へと生育が進んで行く。目標とする茎数の確保にめどがついたら、一度水を抜く。水を田んぼの表面にヒビがはいるくらいになるまで落とし、3~5日ほど土を乾かしす。これを中干しという。中干しには以下の効果が期待されている。1、過剰となる分結。無効分けつを抑える。2、土壌中に酸素を供給し、微生物の死骸を肥料分にする効果がある。窒素の発現とか言う。3、柔らかさを増してゆく土壌を固めて、稲が倒れることを防ぐ。倒伏防止。4、乾かして地割れを起こし、土壌に好気的な環境をつくって、腐敗方向の発酵を止めてメタンガスの発生を防ぐ。5、イネの根を畑型に生え変わらせて、植物の葉や茎の成長から、お米を実らせる穂の形成に成長の姿を転換する機会を根に刺激を与え、切り替えを起こす。6、地割れを起こすことで、根の切断をする、この刺激で根が地表型から、地中型に変わる。
中干しの技術は実に巧みなもので、良く工夫されたものである。場合によっては、二度三度と状態に応じて行う。病気対策や、虫対策に干しを利用する人もいる。自然農法を実践される人には、中干しは不要だとする人もいる。1、無効分結が起きるほどの、余分な肥料分は無く、分結が取れないのが自然である。2、肥料は田んぼが熟成する中期に自然に増してくる。への字型である。3、自然農法の人は大型機械を使わない人が多い。田んぼを固める必要が少ない。4、自然農法の土壌は、発酵のバランスが良い場合が多く、腐敗はほとんどない。5、畑根に変わるとは言われるが、もう一つ不明な所である。生育のステージの転換については、今の所認識が出来ないので判断不能。6、何もしないでも深く根が張るらしい。
昨年の舟原田んぼは、水を張り続けた。しかも深水を続けた。お陰でヒエの姿は希にしか見なかった。自然農法と名乗るほど立派な志があるわけではないが、楽に、確実に、費用は掛けずに、しかも沢山お米を採りたいと考えている。中干しを、やって見たり止めてみたり、どんな違いがあるのか観察を続けてきた。去年は、土が軟らかくなりすぎて、稲が倒れると言う体験を初めてした。倒伏にも色々のタイプが考えられる。実りすぎ、茎が弱い。あるいは伸びすぎ。所が、下の田んぼの、水温の高くなる所で、水が流れの弱かった、水の淀む場所で、土壌が軟弱になってしまった。盛土や硬磐の関係もあるかも知れない。初めての倒伏体験であった。稲の姿から、過繁茂や下位分節の伸び過ぎはない。土を固める必要が今年はある。バインダーで稲刈りはするのだが、稲刈りのタイミングで、雨が多かったことも原因して、操作に苦労した。
中干しをしない人の主張に、干すと生き物に被害が出る。と言うのがあるが、確かにその場で生き物は死んでしまうであろう。5月から、9月と言う短期間の水張りでは、大きな違いはないだろう。出来れば田んぼの一部に、一年を通して水のある場所を作れるといい。構造上難しい所であるが検討の余地はある。稲作だけの事で考えてみて、中干しの意味はいまだよくわからない。棚田では干した為に、畦からの漏れが起こるというのがある。ひどいと、畦の崩壊が起きる事もある。土用干しとも言う。土用に干すから、土用干し。ここでの土用は秋の立秋前の土用18日間の事。土用には土をいじる農作業を行わない。土用には様々な禁忌がある。土用中に土を犯すことは忌むべきこととされていたため、土いじりをしてはいけない。それで、田んぼを干して田んぼに入らないよと言う事で、土用干しと考えるのが妥当。土用干しは梅干作りの干しの方が身近。いずれ、土用といながら、干すタイミングは土用とは限らない。中干しには何かあるようだが、まだ明確な意味は見えない。
昨日の自給作業:麦の脱穀2時間 累計時間:2時間