民主党の農業改革案

   

「民主党が勝ったら、議論」を事務次官がしてはいけないという事で、鳩山民主党代表は、激怒していた。不偏不党であるべき公務員が、野党批判を公式な記者会見で、行ってはいけないと言うのだ。正確に言うと、民主党の提出した農業者の戸別所得補償制度の創設を含む法律案に対する見解である。随分了見の狭い、自信のないことだ。野党提出法案を該当省庁が論評してはいけないと言うのでは、かえって、偏ることになる。農業の大転換期に来て、本当の議論をしてもらいたい。これが全ての農家の気持ちであろう。農家にしてみれば、民主党のいう、戸別補償が正直理解できない。農家と言っても様々である。この様々を、ひっくるめて保証するなどできるわけがない。とすると、この考えの行く先は、高速道路無料と同じで、無駄使いをなくして、費用を捻出すると言う、魔法に到るだけではないのか。自民党のやり方で行き詰ったのは充分わかるが、民主党案に対する不安は大きい。

農水省の事務次官が民主党の農業政策批判を公式な記者会見の内容。
一つは、この法律の第5条に、この法律の施行後四年を目途として必要な措置は段階的に講ずる、と書いてあります。今の農林水産業、特に農業、それから、農山漁村の状況を見ますと、この「四年を目途」というのは、ちょっとスピード感が少し足りないのかなという感じがいたします。
それから、戸別所得補償制度本体では、これも言われておることですが、16条で、コメ以外の麦や大豆や畜産物につきましても、行政が生産数量の目標を決めるというふうにされておりまして、この目標に従って生産する農家に、所得補償をすると書かれております。ご承知のように、今、議論になっておりますコメの生産調整でも、その事務処理が、ものすごい大変だということで、自治体や農業団体が悲鳴を上げておるのが現状ですから、コメ以外の多くの農畜産物について、こういったやり方を拡大して実施するということは、現実的ではないのではないかと思います。
また、三つ目は、この目標数量の設定に当たりまして、同じ16条に、行政は毎年、農業者の意向を踏まえて決めると書いてあります。やっぱり、今は、消費者ニーズがどれくらいあるか、需要がどのぐらいあるかということを起点にものを考えないと、作ったけれども余っちゃいました、というのでは、まずいのではないかなと。そういう点で、農業者の意向だけを踏まえるというのは、いかがなのかな、という感じもいたします。
最後の四点目ですが、6条で、食料自給率の目標として、施行日の属する年度から10年度を経過した年度、つまり、10年後は、50パーセント、更に10年を経過した20年後は、60パーセントに達するようにすると、はっきり書かれてあります。今まで我が省がやってきた農政とはラインが全然違うということになってしまう可能性もありますね。

ちょっと長かったが、どんな内容か大切なことで、踏み込んだ議論がないので検証するために、挙げてみた。① 4年は時間がかかりすぎ。良くわかるが、何十年ほったらかしにして、駄目にした責任者の発言とは思えない。4年かかったって良くなるなら、かまわない。② 米減反の事務処理を煩雑にしたのは、農水自身だ。改善の余地大有り。③ 農業者の意向を聞いて何が悪いのだ。消費者後回しは当然。④ 自給率の目標を上げるのは必要。農水が自給率向上を主張しながら、ここまで下げたのは、数値目標のない責任が見えない仕組みにしてきたから。
この程度の議論をしてはいけないと言う鳩山氏の怒りは何だろう。井出農水事務次官の勉強したと言う内容は、この程度のレベルなのだ。日本の官僚が優秀であったのは、過去の事だ。議論や指摘がこの通り浅い。官僚に任せて置けないというのは、日本の舵取りをする能力がなくなっているからだ。しかし、政治家の方も怪しいもので、一体日本農業はどこへ行く。

昨日の自給作業:草刈1時間 累計時間:37時間

 - Peace Cafe