畜産農家の廃業

   

笹村養鶏場は廃業するわけではない。業としての養鶏は止めるが、鶏は飼い続ける。鶏の育種への興味は尽きることがない。20年もかけて作出してきた鶏研究を、生きている限り止められない。農水省でも、もう一年以上前になるが、採卵鶏の日本独自種の作出を発表した。中川昭一大臣が変わる寸前だった記憶がある。その後成果があるのかどうか気になる所だ。何処で誰がやっているのかもわからない。今度調べて見たい。農水省は畜産農家の廃業が、昨年一気に増えたことをどう考えているのだろう。必要なことと考えているのだろうか。稲作農家や、畑作農家より、畜産分野は社会の動向が直結する。2007年2月時点で2万5400戸(農林水産省調べ)。全国の生産者団体で作る中央酪農会議は、今年度中に1000戸以上の酪農家が廃業に追い込まれる、としている。養鶏業者の倒産は昨年最高数になった。

飼料高騰が、直接の原因。トウモロコシの高騰。鶏の配合飼料で言えば1,5倍とは行かないが、それに近い感覚で上がっている。アメリカのトウモロコシの急騰が影響している。バイオエタノールがアメリカの政策。石油価格の高騰に対する、農業国アメリカの戦略。遺伝子組み換えトウモロコシで、石油産出国に対抗する作戦。馬鹿馬鹿しいのは相変わらずの日本の農水省。全体像も見えないまま、流行のバイオエタノール研究に予算請求。本当に場当たり的で情けない。先日まで唱えていたお題目の自給率向上は何処へ行った。農家への補助金がどうだこうだ。農産物の輸出がどうだこうだ。こうした政府の方針が滅茶苦茶ななか、畜産の寡占化が進む。これが政府の待っていること。格差社会の政府の本音。町工場レベルは早く倒産してほしい、経営の合理化の進んだ、政府と協力体制の大企業だけで良い。この本音で選挙に負けたから、ごまかしは言い募る。

日本でバイオエネルギー生産は間違っても成立しない。第一、アマゾンの密林を伐採し、世界の農地を砂漠化しながら進んでいて、エコエネルギーはないだろう。トオモロコシは水の量に比例する。コーンベルトと言うのを42年前に習った。中国の昨年の旱魃は過去例を見ないレベルになっている。オーストラリアも同様の旱魃。食糧生産が危うい中での、バイオエネルギーは世界を破壊を早めるだけ。暮らしの方を改める以外ない。牛肉など、めったに食べない暮らしに戻れば、済む事だ。ゴア氏のように暮らしの方は垂れ流しで、温暖化を云々ではもう済まない所に来ている。それでも石油は上がる。更に、バイオエネルギーへの農業の転換が進む。飢えている国からも、大切な食料が、飼料として集められる。それでも霜降りの牛肉が食べたいか。

日本の畜産飼料総量は2500万トン内輸入飼料が2000万トンそして、食品残渣量も2200万トンと言われている。内家庭から出るものが半分の1100万トン。こんなことが続けられていて、バイオエネルギーはないだろう。餌になる廃棄物を餌にする。そう言われ続けて、久しいが改善の兆しも見えない。問題は輸送コスト。出る場所と使う場所が離れている。出るところに畜産が移動するか。畜産の現場で、食品が生産されるかしかない。江戸時代のように、農家が江戸の街中まで、汲み取りに来る様な状態だ。暮らしを自給的に変える。一人では無理でも、地域での自給に協力体制を作る。貴重な食糧生産の畑でエネルギー用のトオモロコシを作る前に。やることは幾らでもある。

昨日の自給作業:畑の整備とミカンもぎ1時間 累計4.5時間

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