民主党の戸別補償農業法案

   

いよいよ、民主党議員提案の農業者戸別所得補償法案の審議が始まった。法律にしては分かりやすいというのが、第一印象。と言う事は後から細則で、あれこれ決めると言う事になるだろうか。慌てて出したので、細部までつめきっていないと言うのが、実際ではないか。この法案によって、10年後50%の食糧自給率が達成できる。1兆円規模である。こう民主党は考えているようだ。1、食料の国内生産の確保。2、農業者の経営の安定。3、食料自給率の向上4、地域社会の維持、活性化等の農業の多面的昨日の確保 志は高い。
法案の内容は、主要生産物(米、麦、大豆)国、県および市町村は生産数量の設定をしなければならない。生産数量に対しては補助金を出す。補助金は生産規模拡大の費用や環境保全に資する度合いなどを考慮する。と言う辺りが、主たる内容だ。

正直な所、これだけで日本の農業が何とかなるとは、到底思えないが。具体的に考えて見たい。米、麦、大豆、の生産量を小田原市の単位で決める。本当に農政課でそんなことが出来るのか。農協がやるのか。その力量はあるのか。つまり、米なら生産を抑える。麦、大豆なら生産を促進する。そうした農家をリードする、力量がなければ、10年後に50%の食料自給率の確保はできないだろう。とすると小田原のような、農業を主要産業と考えていない、行政としても力を入れてこなかった地方公共団体では、先ず政府から、この法案の為の職員の派遣が必要だろう。それだけで1兆円かかるかな。少なくともこの法案の為に、全国規模で、行政職員の法案運用教育が必要だろう。そうでもしない限り、大きな枠組みだけの提案である、この法案では混乱が起こるだろう。

もし、農家の作付け生産調整が出来たとして、又、それを可能にする一番の要件である。生産費の算出は、又昔のように、国会の米価委員会にムシロバタで農家が押しかけるような事になるのだろうか。生産費の客観性などあるのだろうか。生産費は基本的には継続再生産可能価格だ。これは、国際比較すれば相当に高い。それでWHOは了解するのだろうか。そんなもの、どうでもいいと言えばいいが、そちらも立てるのが、民主党の考えに違いない。であれば、この法案は中途半端にならないか。

一番気になる点は、農業者の国家統制だ。この法案では、再度、減反調整を強制する、以前の悪いやり方に戻る。生活のかかった本気で取り組む生産能力の高い人も、いい加減にやる兼業農家も、同じように減反調整せざる得ない。誰がいい加減で、誰が、本気は決められる事ではない。以前、米作り日本一の人が減反に腹を立てて、タクシーに転職した。その気持ちは良く判った。極端だが、画家を国家が認定し、生活保障する制度を以前中国ではしていた。誰が誰を選ぶのか。これは不可能な事に違いない。中国では、大げさな絵画程度で、大した画家が出ていない。米作りも人間がかかわることで、千差万別。国が踏み込んでいい結果は出ない。自由主義経済の枠組みの中で、どう統制するのか。どうせ同じ価格ならと言う事で、水周りが1回減る。化学肥料をぶち込み、多集する。いいお米よ、何処に行く。

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