田園居住
田園居住が想定する、住環境は豊かな自然環境に恵まれた、農村環境あるいは里地里山環境に、一定のルールに従った、ゆとりある住宅がつくら、地域住民として生活することであろう。田園居住地域に指定された場合の地域側の受け入れ態勢のほうを考えて見たい。この法が対象としている小田原の市街地調整区域は、農業が営まれている場所と、考えなければならない。現実には対象地区の多くが、従来の農業的利用に限界があると、考えられ、耕作放棄されないまでも、将来の農業的利用が不安視されている。小田原の将来像を考える中で、新しい枠組みを模索する事は必要であろう。ここで最優先で考えておくべき前提は、小田原の農業の展望であろう。これを明確に設定した上で、その枠組みを生かすような、田園居住の取り決めを行うと言う事であろう。
すでに平成13年に、小田原市は小田原市市街化調整区域整備・保全構想策定調査業務委託をしている。本構想は、小田原市の市街化調整区域の10年先の将来像を検討したもので、国土交通省の田園居住区整備事業を活用した国庫補助調査です。具体的な検討内容としては、市街化調整区域の土地利用基本構想の検討、調整区域地区計画制度の運用方針、優良田園住宅建設促進法の基本方針等の検討と共にケーススタディとしての本市西部丘陵地整備の検討を行っています。今回の田園居住検討がこの荻窪の丘陵地区を前提として、提案されてる構想と考えうる。しかし、一地域を想定して、この計画を検討するのであれば、小田原の将来構想の中での整合性が問題となるのではなかろうか。
早川、根府川、久野、曽我、の各丘陵地帯が、潜在的候補地としての可能性を持っているのであろう。特に、私の暮す久野地域は、現在里地里山構想のなかで、意見としては、田園居住区の要望はすでに出ている。ここでは、里地里山の維持はそれを支える、住民の増加が必要とされる。農業や、林業を健全に営む背景が、成立して、初めて里地里山が守られる。その意味で、農業者や、林業者が、その地域での経営の為に新たに、移り住む事を受け入れることが、重要と成るであろう。農業の担い手の為の、田園居住の検討こそが、小田原の農業の将来の可能性を開くことになるであろう。小田原での新規就農が、困難な理由は住宅問題にある。この解決が可能であれば、これからの時代の農業に、小田原は相当に有利な地域である。更に言えば、この法が想定する、豊かな田園生活とは、農業や林業が作り出して来た環境の中での暮しの事であろう。
田園居住が、農地の宅地への、転用を可能にするためだけに利用される事になれば、今までかろうじて維持されてきた、優良な環境が、破壊される可能性も大きい。耕作放棄地があるからと言って、単純に農業不適地とは言えない。担い手の新たな参入を可能とする、田園居住との組み合わせこそ、里地里山地域と重なる市街化調整区域の健全な管理に繋がるであろう。荻窪地域が、行政提案の里地里山構想から、突然はずされた背景も、この荻窪丘陵を限定的に田園居住の想定が推測される。田園居住地区構想の提案が今後考えられるのだろう。しかし、里地里山地区にこそ、単なる住宅地開発でなく。その地域の農村的環境を守り育てる為の、住居地区の育成を考えるべきではないだろうか。