強制換羽の是非

   

笹鶏の孵化はお陰さまで順調に進んできた。今年は雛鶏の孵化に集中できず、不安の中で進んだ。だから、今年は私がやったというより、カヨ子さんが殆どを行った。一番難しい、育雛舎の床も最後の物は初めて私がやらなかった。何とか無事切り抜けたのは、幸運だった。今年は何故か、ネズミが大量に発生していて、ヒヨコが初めてやられた。可哀想な事をした。何とか穴を塞いでしのいできたが、簡単な事ではない。どうも周辺の環境バランスが崩れているように感じられる。暖冬の結果なのか。餌の問題なのか。観察を強める必要がある。そうしたことに関連するのか。カラスの100羽ほどの群れが現われて、周囲をいつもうろついている。ヒヨコが狙われたと言う事もないのだが、ネズミを食べているのか、餌もないところで、地面に降りている。

自然卵通信に名越さんの考えとして、強制換羽の有効性が書かれていた。以前から、これは危険なことだから、止めるように私は主張してきたので、名越さんが、強制換羽を評価している事は、全く意外だった。自然養鶏は行う者の個性によってそれぞれに総合的な形で出来上がっているので、単純に他の人の考えや、方法を取り入れないほうがいい。先ず自分なりに咀嚼して、可能性があると感じた時は、先ず実験と観察から始めなければならない。強制換羽とは、産卵期間を延ばす為にできた技術だ。例えば、産卵を始めて、13週目で産卵が落ちて来た場合。そこで餌を1週間ほど与えない。体重を20%から30%落とす。すると鶏は羽を抜け換わらせる。卵輸管という器官の萎縮が起こると、と養鶏書には書いてある。その後産卵を再開し、又、若鶏のような卵を産むようになる。という技術である。

鶏にとって何が、好ましい事はどんな事なのか考える時は、野鶏の自然の状態を想像して見る。鶏が1週間も餌を食べない事があるだろうか。あるぞ!なるほど、ヒヨコを孵化する時はそのくらい絶食する。どうもこれと関連している、のではないか。就巣性が産卵鶏は取り除かれている。本来、産卵を春先行い、鶏は巣につく。そして、絶食して雛を孵化する。これが自然の雌鶏の姿だ。これを再現してやるとするなら。このことは合理性がある。しかし、私のところの笹鶏のように、就巣性が少しあり、休卵期間が存在する場合は、又違う要素を考慮しなくてはならないだろう。鶏の持つ産卵のサイクルにあわせて管理を考える必要があるのだろう。巣についた鶏の別飼いは今も行っている。餌をやらずに、1週間ほど置く。これはいい方法かもしれない。試して見る必要がある。

しかし、鶏本来の習性を取り除いた品種改良を行った結果から、取り除かれた絶食期間を、もう一度、人工的に再現してやるというのは、なにやら不思議な方法とも言える。強制換羽を動物愛護団体が、動物虐待だと指摘するので、これを切り抜けるために、食べてはいるが、身に付かない餌と言うのも、開発されている。普通に食べているようだが、栄養にならない餌だ。飼料中のナトリウムレベルを下げ、亜鉛やヨウ素を上げる餌だそうだ。こうなると、流行のダイエット食のようで、なにやら、人間の姿がダブってくる。20%から30%ダイエットさせる技術。80キロの人が、60キロぐらいになるなら、そんなものか。だとすると、すでに痩せこけている、我が家の鶏には、やはり強制換羽は不要な技術だろう。

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