小田原・農業特区の終焉

   

あしがら農の会では、5年ほど前農業法人化するか、NPO法人にするか、検討した時期があった。農業法人にするには、法人としての農地の存在が問題になった。農の会は、全員が借地で農業をしているので、活動の基本になる農地の、確保の仕方を検討した。但し、農作業の請負を活動の主体にしている農業法人は、拠点となる農地は必要でないはず。こうした事を進めようとした。ところが、行政が非協力。何とか止めさせようとした。先ず、勉強が足りない、と言うか全くしていないから、知識がない。あれもダメこれもダメ、自前の農地がなければダメ。の一点張りで、行き詰まった。ところが、そんな事は構わず、自前の農地などなく、行政に相談なく、勝手に立ち上げた、農業法人が現れた。聞いて見ると、会社設立と言う形で作った。行政に相談など必要ないというので、そういう手法もあるのかと驚いた。

その頃、小田原市が農業特区を申請するらしい。と言う事が聞こえてきた。まさか、あしがら農の会の活動にことごとく立ちはだかり、小田原での農地の貸借が出来ないようにしている、小田原市がまさか。と思ったが、一応農政課に訪ねた。するとビックリした、本当にやろうとしていると言うのだ。趣旨を聞くと、農の会の活動と建前はそのままだ。是非とも協力してくれと言う。これからは農地の貸借も協力するから、今までの事は別にして、是非とも一緒にやってほしい。こう言うのだ。そこで、県の農政の人、小田原市の農業委員会、普及所の人。それとあしがら農の会と、4者で今後の方向を話し合う会を持った。簡単に言えば、NPOとしてゆけばいいか。農業法人としてゆけばいいかを、検討した。

そのとき、行政3者は農の会の活動の主旨は、NPO活動がふさわしい。市民活動であり、農業者の営業活動ではないようだ。農業法人とは趣旨が違う。このように成った。そこで、あしがら農の会は、NPO法人化し小田原の農業特区の指定を待つことになった。そして、いままで、私個人の農業者が借りて、農の会の活動に利用していた農地、等を全て、小田原市の農業特区の対象にした。だから、小田原の農業特区の活動は、全国的にも、それなりの知名度が上がった。他所の行政からも見学が何件も来た。新聞にも何度も取り上げられ、多分行政も鼻高々という空気だった。ところが、これには農業委員会サイドは気分を害していたらしい。

2年前から、農地の貸借がストップした。一切出来ない。農地の貸借の一覧が農業委員会にあるのだが、見せてもくれない。NPOが借りるのは、借り手が居なくて困った農地に限るのだから、ダメだ。法的にも、何故か、完全に止まって2年が過ぎた。一体、是非NPOで進めて欲しいと発言した、行政は何だったんだ。2年間活動が止まると言う事は、どんな結果になるか。情けないというか、行政の怠慢は驚くべきものがある。その影響もあり、ある意味農の会の活動の方向が、この間変わってきた。当然ことで、他の協力的な地域に活動はシフトしてゆく。何故、小田原市のそれまでの方針とは全く違う、農業特区などやったのか。これにだまされた。単なる思い付きだ。その背景に思想が全くないから、特区の募集が国からあった時に、格好だけつけようとしたのだろう。目立たなくなれば、もうやる気が全くない。担当の職員すら、この4月から居なくなった。

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