帰化植物
乗鞍岳の山岳道路標高2000メートルを超える沿道に、低地の“外来種”の植物が35種類も侵入していることが名城大グループの調査で分かった、そうだ。この外来種が、定着、野生化したらば、帰化植物と言う事になる。無数にあるから、今更どうにもならないことは分かっている。この先帰化植物が長い間にどう遷移してゆくか、これには興味がある。在来種が一定の安定した状況を作り出しているところに、外来種が異物として入り込む。どんな新しい状態を作り出すのか、興味深いところがある。一般に、研究者や専門家は、帰化植物に対し警鐘を鳴らしているが、どう考えればいいのだろう。「外来生物法」と言うものが2004年出来た。クレソンとか、キクイモとか、セイタカアワダチソウとか、意図的導入種と言うのだそうだ。わざわざ入れたはいいけれど、後で困ると言われても。
史前帰化植物というものがあり、これを見てゆくと何となく今後の事がわかる。前川文夫氏は3つのグループに分類している。1つは稲作に伴って伝播してきた植物群。例としてヨモギ。2つ目はムギ類の栽培伝来とともにやってきた植物であり、例としてハコベ。3つめのグループはの中国から有用植物として持ち込まれたもの。ヒガンバナ。落ち着くところに落ち着いていると言えるようにも思える。希少生物を駆逐してしてしまうと言うところが、一番心配されているが、どんな物がなくなり、そして困ったのか。多分多く日本固有の植物が失われたのだろう。そして、前からそこにあったような顔をして、日本の古来の文化にまで、浸透してきている。キクイモは体にいい。とかテレビで言われた。農の会でも栽培した人が居た。野菜と言われている大半が、トマトだって、ナスだって。弱いばっかりに野生化できないだけだ。
日本人は違和感のあるものを遠ざける。どの民族だって異物を嫌うのが普通だろう。しかし、その外から来た物が、有用であり、ほどほどであり、野生化するほどでなく、日本を侵さない程度であれば、許容範囲と言う事になる。日本と言う国家が、外国に対して閉鎖的であることは、自明の事。難民の受入数は極端に少ない。島国で、外国の人に慣れが少ない。地続きの国では帰化植物などないのかというと、そうでもないらしい。クズなどは世界のワースト100に入っている。ワカメもそうらしい。クズはアメリカにわざわざ、日本から持っていって、これがアメリカで蔓延った。園芸的にも、土手の緑化にも良いというので、持ち込まれた。日本の植物も負けてばかりでない。薬用植物として葛の根は葛根湯、蔓は衣料。花も美しい。葉は飼料として栄養価満天。鶏も良く食べる。しかし、クズは蔓延る。蔓延るのが帰化植物とは限らない。
一方に希少生物というのがある。消えかかっている物。これを保全すると言う事が、人の暮らし以上に法律では、重視される。イヌワシが居るから、道路建設を止める。と言う事はあっても、人が住んでいるから道路建設を止めるなどと言う事は絶対にない。だから、希少生物の名前を利用して、自然環境の保全を唱える、こういう動きが一般的だ。私にとっては「小田原メダカ」もそうだ。本当に守りたいのは、地域の人達の暮らしだ。桑原の農村景観とそこに暮す、農業者を守りたいのだ。桑原の方々が、希少であると言う意味でないので、誤解のないように。