クマ鷹の鳥インフルエンザ
3月に入れば、一応収まったと思って安心していた。やはり今回のウイルスも韓国からの、渡り鳥あるいは、迷い鳥による感染が、原因の発端だった事はほぼ特定できたと思う。更に3月に入り、韓国でまた再発があった。これは厭な情報だと思っていた。どうも、韓国での自然の動物の感染が濃密に成ると、暖かくなったからと言って安心は出来ないなど考えていた。そこに驚くべきニュースが発表された。
熊本県相良村で発見された野生のクマタカから、鳥インフルエンザウイルスが検出された。クマタカはメスの成鳥。今年1月4日、同村の林道で衰弱した状態で発見された。これが未発表だった。ほぼ収束されたと見られる、2ヶ月以上たった今になって、環境省は公表した。この卑劣なやり方に、実は全てが見えて来る。この事実の重要性を理解していない訳ではない。一方で、野鳥を幾ら調査しても、糞からも、ウイルスの検出が出来ない。こう言いつづけたのだ。クマ鷹の感染は、実は重要な事実を推測できる材料だった。これを隠していたとは、養鶏をするものを欺く、許しがたい欺瞞だ。
クマタカの生態は、解明されているわけではないようだ。鷹という名称だが、れっきとした鷲らしい。どんな物を食べているかといえば、肉食だ。ネズミや、ウサギや他の鳥を食べる。渡りもするようなことを書いてもあるが、一定範囲の縄張りを持ち、定住しているとする考えの方が普通だろう。韓国から飛ばされてきた。野鳥を直接食べたか、間接的にそれを食べて感染したネズミでも食べたか、と推測される。今回の事は自然界での感染の姿を良く表わしている。1月4日と言うと、11日宮崎県清武町の養鶏場で発生した事例と、ほぼ同一の原因と考えられるほど重要な情報だ。韓国から飛ばされるとすれば、暮れから正月にかけて、前回の事例とほぼ同様に思われる。問題は日本の自然界に常住しているのかどうか。これが大きな分かれ目だが、1月に解っていた情報を隠した為、もう3ヶ月以上もたった今、熊本相良村を調べたところで、手遅れだろう。
日本の自然界に強毒ウイルスが常在しているとは思いたくないが、無いとは言えない。これによって、今後の対応は変わってくる。今思えば、今回の発生はクマタカから始まった訳だ。この情報を隠して、その後の対応を養鶏場に強制したのは、違法行為だ。この時点では、韓国から帰国した人からの感染や、飼料からの感染、出入りの車の問題。そうした消毒と、混乱した対応を取ったことになる。もしこれが、熊本のクマタカの事例が出ていれば、野鳥あるいは、ネズミによる感染の拡大を集中的に対応出来た。更に、自然界に常在するかどうかの調査を、すぐ行うべきだった。相良村から、清武町まで100キロぐらいか。関連が深いと考える事ができる。自然の詳しい調査が行われる必要がある。自然界に常在しているかどうかは、今後の重要な判断材料になる。と言っても自然界の調査など不可能ともいえる、地道で長期的な展望の必要な作業になるだろう。学問の重要性はこうした状況で切実に成る。野鳥の渡りの状況が把握されていない。クマタカほど貴重な野鳥の生態すら明確にはつかめていない。自然に対する学問、直接お金にならない学問はまだ、まだ、情報不足だ。