大磯田んぼ

   

二宮の中村さんを中心に、大磯で新しい田んぼのグループが出来る。先日、食と緑の人達が、宮城から冬水田んぼの実践をされている。岩淵氏をお招きして講演会をした。この講演会がすばらしい内容であった事は今も思い出す。特にネパールの暮らしを日本が目指すべきだ。この主眼・主張は重要だ。その時に来ていた、10人ほどの若い人達がいた。感じとして、食と緑の人ではないな、と思えた。何となく受身でない積極性を感じた。30分ほど遅れてきたので、最初のネパールの話が聞けなかったのだ。長い講演が終わってから、なんと、もう一度岩淵氏にその部分を講演してもらったのだ。この厚かましさと、熱心さが、独特だなと思った。東京で環境関係のNPOを立ち上げている、若い人達の仲間だ。私は、せっかくの機会に、冬水田んぼの事で聞いておきたい事が、色々あったのでがっかりして、帰った。

そのとき主催者の岩元さんと、冬水田んぼは関心があるのだがやらしてくれる田んぼがない。でももしかしたら、大磯では湧き水でやれる、すばらしい場所で出来るかもしれないと言う話をした。岩元さんは平塚の人で、八郷の方まで冬水田んぼをやりに行くような人だから、すぐ強い関心を示した。それで、私が帰ってからその青年達に、話したと言う事だ。それで若者達がやる気に成ったのだ。中村さんにその話をすると、早速地主さんに話をしてくれた。地主さんとの話がまとまったと言う連絡があった。今までも20代の人達と、田んぼをやった事はあったが、今回の人達は何か雰囲気が違う。持っている空気感が違う。今度の土曜日には、草刈をすると言う事だ。畦の建て直しもしたいと思う。作業をしながら、少し話が出来るといい。田んぼの話は改まるより、身体を動かしながら、畦でお茶を飲みながら、こういうのがいい。

田んぼのグループの仕組みはそれは様々だ。農の会では人の募集と言う事はしたことがない。しかし、必要な人員は増えてゆく。大きくなる事は、いい面もあるが、組織としては大変になるという面もある。最近はどの活動も、どちらかと言えば、人を集めないようにしている。どうやって、活動に来る人を制限しようかと言う話が出る。20ぐらいある個人田んぼまで含めた、様々な田んぼで、いつも人集めをしている田んぼは決まっている。理由は色々あるが、集まるところは、100人を越えるし、集まらないところは常に足りない。田んぼをやりたいと言う人は、実は幾らでもいる。その田んぼも、本格的なもので、田植え体験とかで、30分ばかり田植えをするようなものでない。有機農家と一緒のような、おもしろい田んぼをやりたいのだ。しかし、日常の水管理も出来ないのだから、そこまでは無理なのだけど、そんな関心がある。

新しい人の関係を求めている。言い過ぎかもしれないが、家族を求めているのかも。田んぼと言う共同作業の中では、夫々の人に夫々の役割がある。子供には子供の、お年寄りにはお年寄りの関わり方がある。住むところも違う。仕事も違う。年代も違う。だから却って、人間らしいかかわりと言うか、普通の暮らしでのかかわりを求める。地域も、子供の学校の関係も、全てを開放して関われるような、楽な関係がなくなった。「ダメでいいじゃん」のテーマコミュニティー。田んぼのグループはその実験をしているのではないだろうか。頑張るのもいい。しかし、その人がそこに居て、サボって昼寝しているのが、みんなの力になるような仲間。出来ることの有り難さが感じあえる。同時にダメな事が許してもらえる仲間。でも、すごいゆるい関係。それに加えて、なんかトレンディーじゃないとダメ。

 - 稲作