まちづくりはプロデュース

   

稲取り温泉の観光協会の事務長の募集が話題づくりになっている。例の東国原知事同様、電通調べの宣伝効果が何億円ということがニュースになっている。行政の行う箱物づくりがいかに愚かな事かは、夕張市の破産で自明の事となった。国の補助金を引っ張り出して、豪華絢爛な施設を作ることが、行政手腕だと長らく思われてきた。よく言われたのが、M町の町長はさすが建設省と繋がりがある。就任早々に今までやれなかった道路が出来た。ところがこの要らない道路の維持管理費で、行財政が破産する事がわかったのだ。福祉とか、病院とかの美名も同じことで、美名が建設業者の食い物に、どれだけなっていることか。ゴミ焼却炉もダイオキシン騒動以来、高額な溶融路が義務付けられて、国の補助金付きで建てられる。その維持費は大変な事になる。必要だって我慢しなきゃならないことがいくらでもあるのだ。

稲取り温泉がどうなるかは注目だ。同じ伊豆の温泉の熱海市長は財政緊急事態宣言で、議会で吊るし上げを食った。観光地が財政の不健全を吹聴するなど、持っての他という訳だ。市長が分かっていても、どこの議会も旧態依然のままだ。体面とか、名前とか、名誉とか、そんな物で地方議会の議員に成っているのが普通だ。自分の銅像を建ててしまうような田舎の紳士なのだ。しかし、稲取り同様にもうそんな事をいっている状況でないことは、自明の理。稲取りはなけなしの1400万円で、2年間のプロデュースを頼んだのだ。1400万円で、箱ものを作ったところで、知れたものだ。稲取り温泉をどうアピールするかのアイデアに掛けたのだろう。

小田原はどうであろうか。今、町で話題は「城下町ホールだ。」多分、もう次はないと覚悟した市長が銅像の変わりに建てたいのだろう。まぁーそのくらいは大目に見てやれよ。こんな声が聞かれる。3選で偉くなったもんで、世界城下町サミットを小田原で主催しようと言う位だ。その大切なはずのお城の前に、宇宙船のような奇妙奇天烈な、プロレス興行のためのホールを作るという。そのように設計者が書いている。基本計画とは似ても似つかないホールだ。建てるなら華美ではない当たり前のホールにして欲しい。絵の展示室が予定されている。使用頻度が一番高いと予想されている小ホールと兼用だと言う。それで大ホールはプロレス興行が可能なものにしたという。こんな事は基本計画の何処にもない。それを議会で、基本計画に沿って作ると、市長はシャァーシャァーと答弁している。

何を作るかより、大切な事はどのような手順で作るかだ。これをプロデュースするのが、行政の役割だ。基本計画を市民参加で作ることが大切だった。方向付けをしたり、発掘したり。全てを実際に行うのは市民だ。ホールを使う人達が、こんなホールが欲しいと言う活動が起こる。それを市民全般が了解するような活動にしてゆく。その結果、行政がホールを検討しようと言う事になる。そんな地域になってほしい。足柄地域は暮らしの可能性の観点から考えれば、際立って豊かな地域である。その一つに、東京に行けば済むものを作らないでいいという事も利点だ。すばらしい自然環境に暮して、すばらしい水を飲み、地場の食べ物を食べ、恵まれた住環境の家に住む。地域の多様な文化を楽しみ、人間らしい規模のコミュニケーションが取れる。この暮らしの実際の肌合いに、足柄地域の一番の可能性がある。海、山、川、農業、魚業、林業、伝統工芸。温泉にお城、足柄地域で出来ないはずがない。

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