小田原ゴミ処理の広域化
現在廃棄物広域処理検討協議会が小田原市役所内に置かれ、県に提出する実施計画案を来年度末までに策定するため、鋭意検討続けている。小田原市、箱根町、真鶴町、湯河原町、から職員が出向している。協議会の言うところでは、実施計画とは言うものの、内容は1市3町でのゴミ処理の大きな方向の検討、骨子のようなものを決めているのだそうだ。
つまり今まさに、これから50年先までの、この地域でのゴミ処理の方向付けが検討されている、大切な場面だ。しかし、この大切な事が、4,5名の役所の職員が集まって決めるのでは、少し心もとないし、行政の処理法として何かおかしく無いだろうか。本来なら、広域ごみ処理検討審議会の設置が必要な事だろう。100億円からの予算が使われる事業だ。慎重かつ充分な審議が必要だろう。
この審議会の設置を、5回、小田原市役所に出向きお願いした。先日最終的な回答だ。と言う電話があった。何と、「自分たちだけで骨子は決めるから、そうした意見を聞く場は作らない。」と決定したそうだ。大きな事業においては行政手法としては、基本計画を決めるに当って、市議会、市民代表、学識経験者をそろえて、方向付けをするというのが普通であろう。何故行政はその手順を踏まないのか。それに対し、市議会では何の疑問も持たないのは何故だろう。
国の指示で、神奈川県では5年ほど前、ゴミ処理の広域化を進めるための説明会を開催した。その場で担当の部長が、住民の積極的参加を求め、新しいゴミ処理を進めると、熱く語った。ところがその口の根が乾かぬ前に、エコループ社による、山北の県境地区での県全域のゴミ一括処理が提案された。この整合性はどこにあるのか全く分からぬまま、神奈川県の広域ごみ処理は停止状態になった。ところが、予測どおりエコループの荒唐無稽な計画は実現しない。改めて、県は各地域に広域ごみ処理を要請した。それが今の状況だ
広域ごみ処理計画は、住民の反対運動で上手くゆかない場合が多々ある。行政が勝手に計画を立てて、押し付けようとしても、迷惑施設である以上、何処だって反対運動の火の手が上がる。目に見えている。それなら、大きな計画を立てる前段階から、住民を加えたほうがいい。問題を先送りして、住民には結論がでるまで一切を表明しない。「あつものに懲りてなますを吹く。」
行政の担当者が言うには、住民の意見はパブリックコメントで聞くから、充分ではないか。こう主張する。そんな姿勢で、この困難な問題の推進ができると考えているとしたら、愚かな事だ。これは意見を言わせないための隠れ蓑として、パブリックコメントを利用している、典型例だ。ゴミ行政の担当者は、住民、特に環境問題に熱心な市民に対しては、強い拒絶意識がある。痛い目に何度も遭っているからだ。行政職員の意識が、反対運動とどのように対応するか、と言う事に気を取られ、「住民と共にゴミ問題を考えるほか、道は無い。」行政の基本姿勢を忘れてしまう事になる。
確かに、ごみ処理は誰もが触れたがらない困難な問題だ。お隣の、地域でも抜けた町もでている。私は、抜けた二宮町が一番いい、選択なのかもしれないと思う。ゴミをどう処理するかは、住民一人ひとりの意識の問題だ。小田原では100グラム減量キャンペーンをしているが、どうやればゴミを減らせるかは、住民の暮し方にかかっている。ゴミは見える形で、できる限り小さく処理する。自分の家で処理しなさい、となれば、ゴミになるものを買う人はいない。今、小田原市を見過ごしてはいけない。このままでは住民は今後50年大きな困難を背負う事になるだろう。