9条の会小田原 講演会
冷たい雨の降る夜に、小田原中央公民館に出かけた。この雨ではどれだけ人が集まるか、不安だったが300人と言う事だった。多いのか少ないのか。一橋大学の教授渡辺治氏が講演された。明快で分かりやすいお話だった。「9条の会」の事務局次長という肩書きだ。連日の講演できっとご苦労されているに違いない。内容も話し込まれていて、要点が整理されている。2時間近い講演も一気に進んだ。
安倍政権の特殊性、アメリカの世界戦略、日本の財界の要望。9条の改悪の意味。北朝鮮の核開発への日本の対応。どの分析も正確で、腑に落ちるものだった。日本の知識人にこうした方が居られることは、少し心強かった。保守層にまで広げた、運動の展開を9条2項の改変阻止と言う1点で、連帯してゆかなくては成らない。この指摘がされた。これは、ピースカフェを始めた、大きな方向だ。
グローバリゼーションと世界の警察論。日本の企業の低賃金国への進出の問題。企業は国を越える。資本は国を越える。低賃金国政府が誘致する。この奥にあることを考えてみたい。中国には日本の企業が多数進出している。日本企業による現地法人の設立も多数ある。中国政府もそれを歓迎している。20年前、日中文化交流団で、中国政府の招待と言う形で中国に絵を描きにいったことがあるが、そのときも、盛んに日本企業の誘致を言われていた。アメリカ企業の進出が行われている、このままでは日本は遅れをとる。中国は安定していると言う事を分かって欲しい。絵描きの団体にそんな事を言われても、どうしようもないのだが、上海で盛んに言われた。
日本の企業が中国の為になっているのか。地方から出てくる中国人には職場が無い。外国企業に職場を提供してもらう。出稼ぎに行かないでも、国内で労働力の輸出ができる。これは果たして、その国の将来にプラスになっているのだろうか。食べる事の無い食料を作り、着ることも無い服を作り、見る事も無いテレビを作り、乗る事の無い車を作る。こうした生産様式は、中国の腐敗構造の背景に、こうした利益が出れば、国の空洞化はかまわないとする考えがある。経済だけで人間は生きている訳ではない。健全な暮らしを形成する為には、毛沢東の主張した自力更生しかないはずだ。白でも黒でもネズミを捕れば好いとする、経済優先主義がよい結果をもたらすとは思えない。
こうして進出したその国の人にとっては、愛情のもてない、出稼ぎの場であって生活に根ざさないで存在する企業は、危ういものだ。それ故に、世界警察としての武力の必要性が出てくる。それが日本政府の9条改悪の願望になっている。ライフラインの確保。とか言いながら、世界に進出する日本企業の権益を日本自身が確保しなくてはならなくなっているのだ。イラクでも、イランでも、莫大な金銭を出したのは、実は日本企業のためとも言えるのだ。中国でも同様な事だ。北朝鮮を前面に出した、日本の再軍備戦略を考えているように見えるが、中国が対象だと考える必要がある。中国の危うさは、日本経済の地雷になっている。