靖国問題・昭和天皇発言
小泉首相が8月15日に靖国参拝をするのかどうかが、日本外交の大きな焦点になっている。このタイミングで、昭和天皇、A級戦犯合祀に不快感…富田朝彦宮内庁長官メモが公表された。
小泉首相はアジアとの緊張を高める。という事が、その外交方針だと私は見てきた。緊張を高める事で、日本の再軍備をする。憲法を改定し、軍隊を正式に持てる国に、なろうとしている。
緊張をわざわざ高める事は、まともに考えれば、馬鹿げた事だが、テポドンに発射直後の世論調査では、一気に対抗的軍備の必要性に、傾いた。この単純に振れる国民の傾向が、小泉首相に馬鹿げた手法を取らせているのだと思う。
昭和天皇発言は、靖国参拝を中止したときから、想像されていた事で、それを裏付ける発言メモなので、疑いが無いそうだ。この発言を推察すると、「松岡、白取」が靖国に祀られるなら、参拝しない。松岡、白取は昭和天皇の意に反し、日本の政治を行い、日本の敗戦の責任がある。と天皇は考えていた。
松岡洋右(外相)と白鳥敏夫(駐イタリア大使) のこと。
松岡は日本の国際連盟脱退、日独伊三国同盟の締結、日ソ中立条約の締結など第二次大戦前夜の日本外交の重要な局面に代表的な外交官ないしは外相として関与した。「昭和天皇独白録」にも「松岡は帰国してからは別人の様に非常なドイツびいきになった。恐らくはヒットラーに買収でもされたのではないかと思われる」と書かれている。
白鳥敏夫は外務省内で軍部と近い革新官僚として活躍し、38年にイタリア大使となった。日独伊三国同盟を推進し、衆院議員も務めた。
天皇は三国同盟を推進した、この2人がヒットラーやムッソリニーに洗脳され、間違った方向に日本を進めた責任があると考えていたということか。
メモではさらに、「松平の子の今の宮司がどう考えたのか 易々(やすやす)と 松平は平和に強い考(え)があったと思うのに 親の心子知らずと思っている」と続けられている。
「平和に強い考えがあった思うのに」こうした発言からすると、天皇は戦争を回避したいと考えていたが、三国同盟が戦争へ導いた外交の失敗と考えていたようだ。
小泉首相が、靖国参拝をして、これから起こそうとしている事を考えてみれば、日米軍事同盟の強化だ。松岡、白鳥と同じではないか。日本を戦争に導こうとしている張本人だ。
松岡、白鳥は両者とも自分の取った外交政策の失敗を認めた。そして、白鳥は9条の原型となる戦争放棄や軍備撤廃を新憲法の条項に盛り込むべきだとする提案をまとめた書簡を、当時の吉田茂外相を通じて幣原喜重郎首相に送っていた。
日米軍事同盟がいかに不自然な状況を作り出しているか。日本はアメリカの基地化している。こんな不自然な事は、まともな独立国家の姿では無い。日本の安全が、アメリカという世界一強大な軍事力と一体化することで守られている。これは、都合がいいように見えるが、極めて危険な道だ。
ドイツが、戦争に突入した事で、結局は日米が開戦に至る。松岡は三国同盟は、失敗だった。と言ったそうだ。安全のために結んだ軍事同盟が、戦争に導くというのは当然のことで、今日本は、少なくとも小泉首相は、その道を歩もうとしている。