田んぼが始まる

      2016/08/08

田んぼが始まった。6月1日に「坊所たんぼ」に海水を撒いた。それ以外は何もまだしていないが、気持ちの高まりというか、この時期はいつもとは違います。田植えの予定は11日です。

ここ3年、海水を500リットル田んぼに入れます。2反の田んぼですから、反250リットルです。最初海水を入れようと思ったときには、どこの海に行って、汲んでこようか、ポンプはどうしたらいいか。色々始めるまで悩んだものだ。
そこで既に、2,3年かかってしまった。どの程度入れたらいいか。海水の成分は塩だけか。塩害はあるか。海水には汚染物質の混入もあるだろう。色々考えた。
考えて、止めてもいい理由は色々あった。

それでもやってしまうところが、素人の強みかもしれない。悩んで悩んでいたところに、植木屋さんがメンバーに加わった。「海水を入れる田んぼがあるらしい」こんな事を、休憩時間に話していたら、道具はあるから、すぐやろうという事になった。植木に水をやる、タンクとポンプがセットされた車が貸してもらえるのだ。こんな幸運は無い。どうしたらいいかずーうと迷っていた。天恵だ。

以前から、鶏のえさには加えていた。糠を発酵させるとき海水を加えると、発酵状態が良くなる気がしたのだ。糠味噌でも塩を加える。塩と糠の相性は悪くないはずだ。適量の塩分はどんな生き物にも必要な事だ。
鶏の場合は、結論が早い、1週間やってみて、おかしければ卵に結果が出る。発酵する際、加える水分に海水を加えてみると、早く熱が出るようになった。熱が出やすくなった。冬場の発酵にそのことが明確に出た。これはいい。

卵の殻の状態も悪くない。鶏の様子もおかしなことは無い。それから、随分長く続けているが、問題が出たことは無い。
「現代農業」に糠除草の記事に海水を加えるという農法が出ていた。糠だけを撒くより、効果が高いというのだ。糠除草という、言葉を私は止めていた。糠抑草というべきだ。草押さえ程度のほうがいい。草一本はえないようでは何かがおかしくなる。糠の効果が頼りないという事もある。

米ぬかを田んぼに入れるのは、田んぼで取れたものを戻すのだから、悪い訳は無い。これで、コナギが押さえられれば、もう言う事が無い、嬉しい技術だ。米糠抑草は10年やった。手取りの草取りをしないで済ます年も、かなりある。しかし、草は生える時は生える。これをもう少し安定させたい。再現性のある技術にしたい。この辺、にこだわりがある。

糠に海水、この組み合わせは悪くない。田んぼ丸ごと発酵に行くんじゃないか。レンゲをすき込んで来たので、春先、田んぼの土が腐敗臭を出す事がある。ところが、海水を入れてみると、なんとその年から、ニオイが、いいのだ。土壌が改善されてゆく、兆しを感じた。それから、3年目。この2年収量も悪くない。谷戸田で条件は悪いのだが、7俵取れるようになった。海水のお陰だと思っている。

海水は全ての集約だ。水に流した、全てが集まり、大きな海になっている。土壌も、岩石も、植物も、地上にある全てが、徐々に海に流れてゆく。その海を田んぼに戻すというところが何かいい。鳥や、魚が、海のものを山に戻している力も、大きなものがあるらしい。ゆっくりとした循環がここにも存在している。

今年は海水を撒きながら、田んぼを歩いても、土の踏み心地がいい。今は菜種が種になって、一面が真黄色だ。大きい物は2メートルはあるから、すごい量だろう。これを漉き込むのかと、考えると何が起こるか緊張するが、充実のある田んぼだ。今日明日に、種を取ったら、いよいよすきこみに挑戦する、ことになる。

 - 6月, 稲作, 農法(稲作)