食品残渣の飼料化

   

あいらんどの自然養鶏は、地域循環の一環として行われています。日本の畜産は飼料の90%以上輸入して成立しています。このことは物が、狭い国土に大量に持ち込まれていることを意味しています。それをどのようにうまく処理したとしても、物の増加を止めることにはならないのです。
 その悪循環を断ち切るには、徹底した地域主義に戻る以外方法はないと考えています。
人間1人が食べ物を自給するには100坪の土地があれば可能です。4人家族としてなら300坪です。つまり400坪1反の土地で家族は家を建て暮らしてゆけます。
それに要する時間は、1日2時間です。これは土曜、日曜を食糧生産に当てれば、それ以外の時間を人は食べるということから開放され、自由に生きてゆけることを意味しています。これは私自身が一切の機械力を使わず、13年間行って見た結論です。
 このことは日本の国土で日本人は一切の食料輸入なく、生きてゆけることを意味します。信じがたいことでしょうが、安心できる事実がここにあります。
 私の個人的におこなったことを、小田原、足柄地域で地域循環という形をとうして、広く現実化するために「あしがら農の会」は活動しています。例えば、田んぼは1人で行うより共同で行うことの方に合理性があります。つまり農業には年寄りから子供まで、健常者から障害者までその力に応じた関わりが可能です。田植えを例に取れば、1列植えの人から6列植えの人までいていいわけです。さらに苗を運ぶ人から、食事を用意する人、さらに冗談をうまく言う人や、歌を歌う人も大いに場を盛り上げ役に立ちます。やってみると良くわかることです。そうした共同作業によって60坪で食べてゆける生活を楽しく、実現しようとしています。
 「あしがら農の会」では市民参加型の実践に向けて様々に活動しています。田んぼでは100家族ぐらいが、年10回の活動でお米を自給しています。お茶では150人前後が年2回の活動で自給しています。
 以上の考え方のなかで、「あいらんど」の自然養鶏も進められています。
私の目標はどこの家庭も鶏を飼っているという状態の実現です。その合理性の証明です。誰でもが家庭で鶏の飼える方法を、研究してきました。これは大規模化すると合理化されコストがかからないという,企業的論理と逆で、家庭で飼えばただになるという養鶏です。10万羽の鶏が狭いところにいるということは、病気の発病の機会は10万倍あるということで、たった一羽の病気が10万羽に波及する恐れから薬剤も必要になるわけです。
* 「あいらんど」養鶏の実際
「あいらんど」では地域ででる食品残渣を飼料にしています。みかんの絞り粕、おから、お茶殻はサイレージして利用します。米ぬか、青米、ふすま、そば殻、剪定チップ、カカヲのから、魚のアラ、くず炭、牡蠣がら、さつま屑などの農業残渣、以上は好気性の発酵をして利用します。
サイレージとは酸素を遮断して乳酸発酵することです。難しい技術ではなく,家庭でも出来ます。密閉できる器にぎゅうぎゅうづめにすればいいわけです。水分調整に米ぬかを加えます。出来てしまえば,1年経っても飼料として利用できます。
好気性発酵は米ぬかの発酵を利用して,餌になるものは何でも加えるだけです。米ぬかは水分を少し加えると発熱してきます。熱が出たら,魚の粗や,食べ残し,餌になりそうなら落ち葉や,お茶がら等,思いつくものはどんどん加えます。水分が多すぎると腐敗してしまうので,また米ぬかを加えて調整します。堆肥になるものならなんでも餌さとして大丈夫です。
2つのタイプの発酵を利用することが大切です。鶏の生理にかなっているのです。
さらに発酵を利用した重要技術は,床の発酵です。鶏小屋を堆肥小屋と考えます。堆肥の上で鶏が暮らしているようにします。むしろ鶏は堆肥製造係りです。足で堆肥の切り返しをします。ハエが湧くのを餌にして清潔を保ちます。さらに、鶏糞を加えて良い堆肥にしてくれます。あたりの草を飼料の半量にすると、残渣がさらに良い堆肥になります。近所の農家の人や、農の会の仲間が好きな時に持って行って利用してくれるようになっています。
もう一つの「あいらんど」の活動は家庭で飼い続けられる、鶏種の作出があります。今大規模養鶏で使われている鶏種は、家庭で飼うには欠点があります。これを以前はあたりまえにいた鶏に、戻してゆくことです。自分の種を持つことは、自給自足の第一歩でもあります。
*今後解決して行かなければならない課題
廃棄物の収集が法に触れてしまう点が、一番の課題です。食品リサイクル法ができれば、農業者は登録さえすれば法に触れずに、廃棄物を飼料として集められると考えていました。ところが、産廃業者の資格を同時にとらなければ廃棄物は扱えない、というのです。これでは食品リサイクル法が出来たところで、飼料化できる量には限界があります。それは飼料になる廃棄物の輸送コストです。飼料輸入港のそばに大規模な養鶏場は立地します。間に食品残渣を飼料化する業者が入る流通方式では、コストの上で限界は目に見えています。10円の卵にいくらの餌が利用できるか想像すればわかります。
養鶏業者が直接利用できてはじめて、食品残渣の飼料利用は可能なのです。私のところでのコスト計算では卵1個55円で売れて、今のやり方がやっと通用するというところです。
(但し、自給のための養鶏にコストはありません。犬や猫を飼うのにコストはありません。)

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