ナガエツルノゲイトウ試験駆除

   


名蔵アンパルの中、手前の立っている砂州にはナガエツルノゲイトウが生えている。

 ナガエツルノゲイトウ試験駆除を手伝った。栗林さんという方が名蔵アンパルの上流部で発見し、アンパルの下流域を探して、マングローブ林の中にあることを見付けた。琵琶湖でも駆除活動をされている方だ。石垣島では水牛の世話を熱心にされていて、田んぼ勉強会にも参加されている。

 環境省の方3人がこれからの駆除の方向を見付けるために行った作業である。名蔵アンパルの会のメンバーが5人が、除去試験に協力して加わった。やりながら、安全で、完全な駆除方法を模索した。根の生えていた取り除いた土を、ネットに入れて、フネと言う四角いはこの中で洗っ手根を分離した。フネのそこに沈殿した土の中には幸い紛れ込まなかった。網から漏れた根は水に浮いた。

  駆除作業は予想以上に大変なことだった。終日7人のものが作業を行って、たった2㎡ほどしか駆除できなかった。その付近だけで20㎡はある。7人で続けたとして、ここだけで10日間はかかると言うことになるのだろう。他にもまだあると言うことだ。何とも大変な作業である。

 名蔵アンパルのマングローブ林の中にある砂州のような所にナガエツルノゲイトウは蔓延っていた。湿地の中だから、土は掘りやすい方なのだが、根が土の中に縦横に張っている。そしてすぐちぎれてしまう。このちぎれた根が土中に残れば、また再生してしまうものらしい。これが広がったら、アンパルの自然の体系が崩れてしまうことだろう。これは水路全体に広がり、水路自体を塞いでしまうことすらあるそうだ。

 帰化植物はそれを抑えるような病原菌とか、エサにする動物とかがいないことが多い。そのためにあらゆる植物を押しのけて独占してしまう。そのために何万年もこの島に生き残ってきた植物が失われることになる。そうしたことは仕方のないことなのか、あるいはそれでも仕方がないことなのかなどと考えながら作業をしていた。

 先日はアメリカハマグルマの駆除を行った。この草は牛の食べる牧草を覆ってしまう。一度牧草地に入れば除草剤を使わなければ、取り除くことは出来ないだろう。その除草剤もグリホサート 系のランドアップのような根まで浸透して枯らすものでなければ効果が薄いだろう。

 発がん性が指摘されているような除草剤を使いたくない。薬剤を使用しない方法での駆除方法を考えることになる。しかし、実際には除草剤を使わないでどうすれば除去できるのかその方法が分からなければ、現実には除草剤を使うほか除去方法が無い。

 農地が利用できなくなれば、薬害どころか食料を失うことになる。農家であればためらわずに農地に除草剤を使用して排除するのが当たり前だろう。田んぼにあれば当然除草剤での駆除になる。別段悪い事に使うわけではない。そして駆除すべき雑草が除去できるという良い結果になる。さて伝統農業を目指すおまえはどんな方法を選ぶべきかと言うことになる。

 どうすれば除草剤を利用しない除去方法があるかを模索するほか無い。ところが今のところ良い除去方法は見当たらない。物理的に五センチくらいまでの土壌を剥ぎ取ると、その後再生してくる勢いが著しく落ちる。土を剥ぎ取ってから農業利用すれば何とかなるようだ。

 しかし五センチの土を剥ぎ取ることはパワーシャベルのような機械が無ければ無理だろう。試しにやってみたのは田んぼの畦の脇で、1㎡も無い面積だがそれでも大変だった。確かに半年ほど経ってアメリカハマグルマはそこには出ていない。しかし広がる速度はそれ以上に速く、周辺はもう選挙されてしまった。斜面なら困ると言うことも無いのでそのままになっている。

 剥ぎ取った土は積み上げて、ブルーシートをかけて置いたらどうだろうか。どれだけ立てば再生しなくなるかは分からないが、たぶん半年から1年おけば再生することは無くなり、問題は無いだろう。



 植物本体は堆肥化してしまうことが有効では無いか。刈り取り積み上げて置けば、これも半年から1年すれば、再生できない腐植になる。何も描けずにただ積み上げて1ヶ月経ったが、再生はしてきていない。ともかく手間がかかることになるが、アメリカハマグルマについては今のところこの方法しか想像できない。

 ナガエツルノゲイトウについては、作業していてそれ以上に排除困難と言うことだった。ただまだそれほどは広がってはいない。表土は手作業以外では出来ない。そのうえにマングローブの根に絡んでいる。そこにある植物自体を取り除くことが出来ない貴重なものの根に絡んでいる。全体の除去は出来ないと言う事になる。

 当然、こうなると除草剤は使えない。根気よく手作業で取り除いてゆくほか無いのだろう。1㎡除去に少なくとも3人。費用として人件費だけで2万円はかかるのだろう。環境省にはそうした予算はあるのだろうか。ここでやってくれれば、なんとか成るので是非お願いしたい。

 ギンネムと言う帰化植物が石垣島全体に繁茂していった時代があったそうだ。ところが今は困るほどでは無い状態に減少した。これは西表島にもあって、西表の自然景観にはギンネムは似合わない。しかしけっこう広がっている。世界遺産の島ならばギンネム除去は行うのだろうか。

 このギンネムが極端に広がった頃に、害虫であるギンネムジラミの増加が起こり、 なんとなく収まりがついたのだそうだ。不思議な自然のバランス作用が働いた。マメ科植物だから、窒素固定をするのでまったく有害と言う岳の植物でも無い。ギンネムのように、その土地の環境の中でバランスが取れれば、帰化植物でも収まりはつく。

 いつかはナガエツルノゲイトウは収まりがつくのだろうか。琵琶湖の方ではそれどこでは無くなっているという話だった。たぶん広がってしまえば手に負えないことになるに違いない。石垣島では今が対応のギリギリのところでは無いだろうか。一年すればその生育面積はたちまちに数倍になってしまい、除去は不可能になるだろう。

 つまり駆除する費用もたちまちに数千万円になるにちがいない。今なら手に負えるかもしれない。みんなで頑張ってみたらどうだろうか。今を逃せば頑張っても無理になる。こういうことは一帯どこの誰がやれることなのだろうか。お役所がやる以外にないのだろうか。

 絵を描く為に石垣島に来て、まさかの帰化植物の駆除とはこれでいいのだろうか。たぶんこれでいいのだろう。

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