円安と日本の衰退

   




 円安と言われている。アベノミクスが始まり、マイナス金利を続けているから、金利を上げ始めたアメリカに世界の投資マネーが流れてゆき、日本への投資が減って来た。円はを買う人が減少して円安になっている。これがアベノミクスの目的なのだろう。

 円が安くなれば、日本の輸出品は海外に売りやすくなる。企業は販売が増えるのだから、儲かる。アベノミクスの本質は企業優遇である。企業が良くなれば、給与として労働者に配分が増えると言うことが言われていた。ところが賃金は増えるどころかこの間、賃金の相対的価値が低下した。

 円安であるから、当然輸入産品は価格が上昇する。日銀の主張してきた消費者物価の2%の目標は超えた。普通の生活者は苦しいくなり、貧困指数はかなり深刻なところまで来ている。それがアベノミクスの目標としていたことなのだ。企業の既得権益を守りさえすれば良いという、現状維持派の希望だったのだ。

 この間日本の経済はアジアでも中間層に位置するようになった。日本の経済低下が言われている。アベノミクスが日本を衰退させたと考えているが、アベノミクスは成功だったという人が未だにいるぐらいなのだから、もう少し違う原因があるのだろうかと思う。

 日本をここまでダメにした責任者が、国葬を持って弔われるということがどうにも耐えかねる。この10年何か良いことがあったのだろうか。悪い事ばかりに思える。せいぜい安倍氏に功績があると言う人がいるならば、もっとひどいことになるところを、いくらか軽減したという主張ぐらいだろう。

 それでも円安は日本経済には悪くないのだから、継続すると主張している。その主張を聞いていると、日本の相対的な実力はかなりひどい物になっているので、円安ぐらいしか生き延びる方法がないのだ、と主張しているように聞こえる。

 ホルベインの水彩絵の具を購入してみた。以前からホルベインの水彩絵の具は十分使えるという話は聞いていた。先日の水彩人展で絵の具の専門家であるワタさんから、ホルベインの絵の具は信頼して大丈夫だという話を伺い、それなら一度使ってみようかと考えた。

 30年前に始めて水彩画を描き始めたときはホルベインの水彩絵の具を使った。ところが色が重く、明るい発色が物足りなかった。それでニュートンに変えた。はるかに明るい色調で驚き、それ以来使っていた。ところが7,8年前に突然色が濁った。

 色によっては使えない物がでてきた。そこでシュミンケの絵の具に変える色が出てきた。それ以来、シュミンケとニュートンを使って何とかしている。何とかしているが、色については不満を持ちつつ止むえず使うという状態で来た。

 絵の具はかなり大量に購入してある。2,3年ぐらい買わないでも十分に絵の具ある状態で安心が出来ない。円安の時に絵の具は買わないでも良い。そのうち円が戻れば買おうと思っていたのだが、円はさらに安くなると思われる状態である。

 こうなると買わないで居ればいるほど、絵の具は高くなるばかりと考えた方が良いので、そろそろ買うかと考えた。しかし、待てよこの先外国の絵の具など買えなくなるぐらい円が安くなるのかも知れない。それなら、ワタさんの話もあるので、一度試しにホルベインを買ってみようと決断した。

 円安はこの先さらに進み、海外旅行どころではなくなるのではないだろうか。残念なことに大好きな台湾にも行けなくなるのかも知れない。海外旅行など夢のまた夢だった、あの昔に戻るのかも知れない。何故これほど日本が衰退してきたのだろうか。

 日本の生産性が低くなったと言われている。工場の合理化や革新が出来ない。労働者が新しい世界の働き方について行けない。と言うようなことよりもどうも、日本の働き方がおかしくなっている気がして成らない。

 一ヶ月以上前にのぼたん農園に水道を引きたいので、水道屋さんにお願いをした。ところがお願いした水道屋さんはそんなもんですよと言うのだ。まさかと思い、役所に確認に行った。役所のひとが言う理由は届け出の書類が不足しているからと言うのだ。

 それなら不足している書類を申請した水道屋さんに何故出せと言わないのだと聞いたが返事がない。どんな書類かと聞けば、農業委員会の証明書だという。それならすぐ隣が農業委員会なのだから、その書類はそこにあるのだから、聞いてくれれば良いだろうと言った。

 そんなことは自分はしないとぐずぐず言うから、一緒に農業委員会に行こうと無理矢理行ってもらった。するとその必要な確認はその場で分かった。こんな馬鹿なことで1ヶ月も待たされたのだ。しかし、こんなもんですよ、と平気で返事をしていた。

 水道屋さんは書類不足の上に、何故一ヶ月も聞きに行かないのだろう。1ヶ月水牛に水を運ぶ負担を想像して欲しい。農業者が水牛を飼うために、農地に水道を引いてもらう権利はある。何故、農業委員会の許可が必要なのかも理解できない。

 何しろこの水道屋さんは申請費用だけで4万円請求しているのだ。4万円の仕事ぶりがこんなものか。私自身がやっていいなら、3000円で出来る。水道屋さんが申請しなければならない決まりだから我慢しているだけだ。専門家が専門家の役割を出来なくなっている。

 この仕事ぶりを見て、つくづく日本の労働生産性の低下の原因を実感した。こんな状態では国際競争力が低下して当たり前だ。つまり、人間の能力が低下したのだ。総理大臣の能力も随分低いと嘆いていたが、そうではないようだ。

 日本人全体の能力が低下を始めていると考えた方が良いようだ。これでは生産性が下がるのは当たり前の事だろう。何故日本人の能力が下がったのか。それは百姓が減ったからだ。百姓の眼と技を日本人は失った。自然を見て手入れして行く能力を失った。

 教育から作務が失われた。身体で覚えなければ身につかないことがある。歩き方だって、走り方だって、人間が生きていく基本動作は身体が動いて学習して身につける。物を見るという能力は物を見て判断して、徐々に身につく。百姓仕事はそういう人間の能力を育てる仕事だったのだ。

 家の中で、スマホやテレビゲームをやっているのでは人間は育たない。自然の中で自分の食べるものを作る。生きると言うことの根源を知る。こういう人間の原点を育む暮らしのやり直しをすること。これ以外に日本の再生はないだろう。
 

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