3月4日トランプ関税が実行予定

   



 トランプ氏は関税でアメリカの有利な交渉の場を作ろうとしている。アメリカは世界一の経済規模の国である。生産力も他を圧倒するほど大きい。資源も豊かで輸入しなければならないものは少ない。その国が関税を一方的に高くして、外国からの製品に関税障壁を作り、アメリカへ製品を入りにくくすることは可能だろう。

 海外の製品を買わないとしても、なんとか暮らせるわけだ。しかし、予定の今日3月4日もし本当に実行されれば、どういうことになるのか見物である。アメリカが次第に世界の嫌われ者になり、貿易戦争に敗北することが想像される。中国がその作られた隙間に入り込んでゆくはずだ。

 関税による壁を作るという考え方は間違っている。隣国メキシコとカナダに一律に25%の関税をかける。アメリカに製品を売りたい会社が、隣の国に工場を作り、迂回輸出するというのも、確かに良いこととはいえない。しかしアメリカの企業だって同じことをしている。アメリカか本土に工場を作るのが本来だろう。

 世界中が労働力の安い国の工場で製品を作り、輸出をするようになった。そうした企業の方針が中国を世界の工場にした。それが中国の経済成長の原動力になった。中国には今までの関税にさらに20%の上乗せをすると表明している。その後の交渉を見ていると、関税を高くすると脅して、様々な外交交渉をすると言うことを行っている。

 トランプ氏は海外から見れば、とんでもない人間ではあるが、アメリカ人にしてみれば、頼もしい大統領に感じる人もいるのだろう。しかし、こうした小手先の関税という手段では、アメリカの持つ経済構造が、中国に負ける可能性が出てきたという、ことの本質が変化するわけではない。アメリカの鉄鋼業や自動車産業が復活することはまずないはずだ。

 アメリカ国内では関税で一時的に海外の製品が高くなり、売れなくなるだろう。しかし、その結果として国内の産業が生産できるようになるだろうか。問題になっている、USスチィールが独自に復活できるだろうか。しかも、安い労働力である外国人労働者も追い出すというのだ。

 トヨタの車がメキシコで作られていて、それが25%高くなれば、アメリカ車と25%高で競争が出来るかである。ガソリン車におけるアメリカ車とトヨタの車の差はさらに大きいのではないだろうか。

 電気自動車のテスラは中国で生産を行っている。ヨーロッパの車も中国生産が多い。安い労働力で電気自動車は大成長した。しかし、テスラの技術を受け入れた中国の電気自動車は、価格で追い越そうとしている。しかも生産が中国であれば、アメリでの販売価格は上昇することになる。

 アメリカが中国に対して大きな関税をかければ、中国もアメリカではなく他の国に販売を伸ばすことになるのだろう。多分一時的な効果にとどまるものが多い気がする。こういう関税圧力で、アメリカの産業が育つとはいえない。日本の車が良くなったのは、日米貿易摩擦の結果、車の関税がなくなり、車の性能と生産性が上がった結果だった。

 アメリカ人の労賃の高さはメキシコ人の労賃の倍以上だろう。25%関税は効果が上がらないような気がする。どちらかと言えば、こういう関税の脅しをすることで、他の交渉をしてゆくのが主目的なのだろう。トランプはウクライナへの軍事支援も、レアメタルの権益条件を持ち出すぐらいの人だ。

 とことん商売人なのだ。日本にも関税で圧力は言い出すだろう。しかし、その狙いは、中国に対する軍事的圧力を、日本に押しつけることが狙いになるはずだ。アメリカの最も重視している経済戦争の相手は、中国である。中国の仲間を削るというのも狙いになる。

 日本は経済的にはアメリカよりも、中国との取引が大きい。アメリカが圧力を高めるだけ、中国との経済関係は大きくなって行くはずだ。それを食い止めたいというのが、アメリカの狙いになるのだろう。しかし、すべてにけんか腰のアメリカでは、次第にアメリカとの関係の比重は下がることになる。

 前回のトランプ関税は中国から東南アジアに世界の工場が移動したことになった。中国作られた製品が、カンボジアなどからの迂回輸出に回ったと言われている。中国のアメリカ輸出が減少する分、東アジア全体ではアメリカへの輸出が増加することになる。

 日本はトランプとの関税交渉において、中国関係が切り札になると言うことだ。当然のことながら、すでに裏では様々な圧力が加わり始めているのではないだろうか。一方で、中国の今の膨張しすぎた経済においては、日本との経済関係の重要度は高まっているはずだ。

 それでも、アメリカの属国政治の日本の仮想敵国中国政策と、中国国内の反日教育によって、私が中国に行っていた時代よりも、習近平政権の独裁的な反日政策が強まり、日中関係は戦後最悪の所まで来ているのではないか。アメリカに逆らい、中国関係を回復できるかが重要である。

 アメリカは同盟国にすら、関税戦争を仕掛けている。ヨーロッパの車に関税を高くしている。しかしそうしたことも狙いの本丸は中国である。しかし、どれほどアメリカが圧力をかけたところで、中国中心の経済が強まってゆくばかりだ。

 アメリカは次第に孤立してゆく。日本は早く中国との関係の改善を図らなくてはならない。報道が大本営化して、一辺倒な中国敵視のキャンペーンを続けている。冷静に見れば、アメリカよりも、いくらかましなのだと思う。まず、中国が衰退することは日本の利益にはならないと言うことだ。

 また、中国は必ず世界一の経済規模の苦になる。繰り返し書いていることだが、世界2番の人口と、世界一の利用可能な国土面積と、豊富な資源、高い教育と、国家資本主義、等々が理由である。この世界を俯瞰した時の、当たり前の見方を失ってはならない。

 日本の報道は目先のことにとらわれすぎている。習近平政権だっていつまで続くわけではない。アメリカはロシアを追い込もうとして結局敗北した。今度は中国を追い込もうとしているわけだが、これにも敗北するはずだ。その理由は簡単なことで、アメリカが世界中を敵に回しているからだ。

 アメリカに痛めつけられている国は、当面は我慢をして交渉しているが、限界に達するはずだ。被害者同士で手を結ぶようになるのは時間の問題である。アメリカは経済的に巨大な国だから、一国主義でさらに良くなると計算違いをしている。

 コンピューター革命の新しい世界では、必ずしもアメリカが有利とはいえなくなるはずだ。違う技術の競争が起きている。日本はその転換が出来ないでいる。その間に東アジアの国々は新しい技術を手に入れている。アメリカの具術力も抜かれる可能性はある。

 
 

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