トランプの失敗
米国は衰退を始めた。

トランプ大統領は関税でやらかしてしまった。世界のあらゆる国を恫喝して高笑いをしている。おかしな人だとは思っていたが、ここまで汚い人間だとは思わなかった。昔からアメリカ人は嫌いだったが、まさにその嫌いなアメリカ人を寄せ集めたような人間がトランプである。
トランプほど米国人的アメリカ人はいないだろう。大富豪と言われている。道徳心のかけらもない。金の力だけを信じている。能力主義者の権化である。勝つためには手段を選ばない。弱い者は踏みにじってかまわないと考えている。その悪いアメリカ人がこのままでは米国が負けると考えたのだ。
米国が負けるという焦りがトランプを支配した。そこで勝っている間に勝負に出たわけだ。どれほど汚い手段であろうとも、米国が勝つためには何でもやると言うことだ。それが一方的に世界中に高関税をかけるという暴挙であった。弱い国は米国に従うだろうという計算である。
その関税交渉の先頭に並ばされたのが日本である。日本との交渉で、この後に74カ国並んでいる国々に対して、米国のやり方を見せつけようと言うことである。日本が一番組しやすいと国と考えている。前回のアベの態度が日本をなんとでもなる国だと思わせたのだ。
トランプは日本のアキレス腱は防衛力だとみている。米国軍を引き上げると言えば、何でも従うだろうと計算している。アメリカの長く占領下にあり日本は隷属国家根性が抜けていないからである。核の傘の中に育った過保護児童と見られているのだ。
独立する勇気などない国と判断されている。中国と戦う最前線に立てと、ウクライナ化が迫られている。明らかに中国と戦う捨て駒にしたいという考えだ。日中が泥沼戦争に陥れば、米国が漁夫の利を得ると考えているのだ。この悪魔の構想を日本政府は分かっていながら気づかぬふりをしている。
過保護になれてしまい、独り立ちが怖い国になってしまったからだ。今でも自民党の国防族は明日にでも中国が攻めてくると、騒ぎまくっている。彼らの主張ではもう2年前に中国は台湾侵攻をしていることになる。絶対に中国は台湾侵攻をしない。
何度も書いていることだが、中国は経済で世界1になると考えている。それが第一目標である。またその自信も持っている。その筋書きの中で、台湾侵攻などない。世界一になった暁には、台湾の中に中国編入派が誕生し、黙っていても状況が変わると考えているはずだ。
トランプは日本の在留米軍に対する費用負担が少ないと主張している。負担をしていないと思い込んでいる。日本は十分すぎるほど米軍に対して思いやり予算をつけている。最近同盟強化費と名称を変更した。年平均で約 2110 億円 とされている。
こんな額では負担をしていないと同じだというのが、トランプの見立てだろう。これからどのくらいの負担が必要なのかが出てくるはずだ。自衛隊の装備も米国から大量に押しつけられるはずだ。防衛を肩代わりしているのだから、当然のことだという主張だろう。
しかし、これは間違った考えだ。米軍が日本にいるのは、自由に使える基地を中国やロシアの最前線にほしいからである。日本を守っているのはそのついでのことだ。日本を焦土にして米国本土を守るための防人の島としての、占領地日本なのだ。
日本の国防族はこの米国の意図に沿って動いている、米国の岡っ引きなのだ。日本の右翼の中に独立を目指す者がいないことには驚く。日本の国粋主義者のはずが、米国の手先根性丸出しの、歪んだ右翼思想なのだ。石垣島を防人の島にしたのもそういう連中である。
トランプは猫なで声で、習近平は頭が良い立派な指導者だなど、おべっかを使っている。どれほど焦っているのかが見える。中国に関税戦争を仕掛けながら、同盟国まで敵に回すという、大失敗を犯したのだ。世界中が反米国になる可能性が出てきたのだ。
そこで一番の隷属国日本が交渉の先頭に並ばされたのだ。焦りが見え見えである。日本は譲らず時間をかけて交渉することだ。90日では交渉が終わらない。一国に2日かかれば、150日である。時間が日本に幸いするはずだ。
中国はしめたと思っている。習近平氏は早速アジア3カ国の歴訪をした。中国経済圏の構築のチャンスが巡ってきたと考えているのだ。中国が頭を下げて、米国との交渉に入るはずがない。中国は関税戦争が続けば続くほど有利になる。
関税で困るのは米国なのだ。トランプ氏は失敗をしたのだ。世界中を敵に回してしまった。日本は組しやすいとしても、ヨーロッパ諸国は誇りがあるから、反米国を鮮明にして行くことだろう。すでにTPPへの加盟を検討している。
中国も以前からTPP加盟を表明している。反米自由貿易連携の方が、米国一国よりも遙かに大きな経済圏になる。トランプは90の猶予期間に、追い込まれ、自ら関税を撤回することにならざる得ないだろう。トランプには誇りとか、意地とかそ言う価値観が見えないのだ。
トランプを選んだ米国庶民はどうも関税は貿易する側が払う者だと思い込んでいたという。日本の自動車が25%値上がりして、自分たちが関税分を持たされるとは考えていなかったらしい。確かに日本車が売れ行きは落ちるだろうが、まだ米国車が追い越すほどでもない。
トランプが言うように日本で米国車が売れないのは、日本に非関税障壁があるからではない。日本に合わせてアメ車を作らないからだ。アメ車が通れるような道を作らないのは、関税のような障壁だと言われても、さすがに筋違いだろう。
米国でも軽トラが人気だという。安くて性能が良くて、小回りがきく。米国で販売される軽トラは左ハンドル仕様なのだ。その国で売るならば、その国のルールに合わせなければならない。米国に何で合わせないのかと言われても困る。
米国では右ハンドル車は違法なのだ。これこそ非関税障壁ではないか。しかし、特例があるのが25年ルールである。25年落ちの中古車なら、右ハンドルの軽トラが米国で走れるのだ。安全基準を合格すればと言うことになる。米国のルールに合わせて売るしかないのだ。
中国も米国で者を販売するために、米国に合わせている。今や、アメリカ人が作る物よりも、アメリカ人好みに合わせられている。値段が安いからだけで米国で売れるわけではない。トランプ関税で中国製品がなくなり悲しむのはアメリカ人なのだ。
日本はトランプがおかしい主張をしているとしながらも、どこか妥協点を見つけて、従おうと言うことだ。これは間違っている。米国との同盟関係を止めるときが来た。良い機会だから、日本は自由貿易立国で行くことにすれば良いだけである。誇り高い国でありたい。