石垣島で一番のおいしいソーキそば

   

石垣島では、やはりそばだろう。そばといっても、ラーメンとうどんの間のようなそばだ。

看板にあるように、八重山そばである。「おいしん坊」が私には石垣で一番おいしいソーキそばだ。一度食べてみる価値がある。石垣では結構、ソーキそばを食べ歩いている。毎日でもいいのだが、我慢している。100軒はあるのではないだろうか。東京で食べたソーキそばも、沖縄本島で食べたソーキそばも、おいしいと思ったことがなかった。名物に何やら。これは近々ラーメンに圧倒されるに違いないと思っていたが、予想通り沖縄本島では最近ラーメンチェーン店が目立っている。ところがである。やはり、ソーキそばには別格のおいしいものがある。そばといっても、そばではない。ラーメンでもない。もちろん、うどんとも違う。これをそばと呼んだことがそもそもの間違いである。そば粉は使っていないのだから、八重山温麺ぐらいがよかったか。つい、更科のそばとどうかな思って食べた人にはとんでもない食べ物である。そんな人はいないか。それでも名前は大切だ。

おいしん坊は看板にあるように、ウナギもあれば、エビフライも、牛汁もある。みそ汁だってある。それにしても、なんでみそ汁が看板にあるのだろうか。石垣のみそのみそ汁を大切にしているのかもしれない。普通なら看板にはないだろう。加えてこういう店には必ずあるのがぜんざいである。かき氷に金時豆の煮たものが載っているという感じのものを、沖縄では「ぜんざい」というらしい。らしいというのはかき氷も、ぜんざいもたべたことがないので、正体は分からない。おいしん坊のソーキそばは700円である。900円くらいの店もある。400円の店の看板には石垣で一番安い店と書いてある。ソーキそばというのは、豚の骨付きバラ肉を軟らかく煮たものが乗せられている麺である。豚バラ肉を軟らかくなるまで煮てあるがのがソーキという。これも随分と味が違うものだ。何度も作ってみたが、押し辛抱には程遠い。軟らかいのに、豚肉の味が濃厚。ラーメンとうどんでもない麺が八重山そばなのだが、黄色い細ウドンと言えばいいか。

肝心なものはやはりスープである。鯖節やイワシのだしのように感じるが、おいしん坊のスープはなんともうまい。トン骨も入っているのだろう。それをさっぱりにしているのは野菜なのだろうか。さいこうにキッシュにうまい。駄菓子屋や縁日の焼きそばのうまさだ。小さな皿がついてくる。これは骨を取り出す皿だ。そしてもう一つの皿が紅ショウガ。これは唯一苦手の食べ物。紅しょうがの赤の食紅で子供のころ蕁麻疹になったことがあった。それ以来食べないのだが、今の食紅はあのころとは違うので大丈夫だ。と思って食べた。出されたものを残すのはやはり気が引ける。そう思っていたら、これがうまい!今では必ず全部乗せる。最後にはソバの汁が赤くなっている。しかし紅ショウガと実に合う。紅しょうがの出ない店もある。それはそれで漬物が付け合わせで出たりする。

おいしん坊で気お付けないといけないのは、水である。お店に入ったら、注文を考える前に、水のセルフサービスである。これがこのお店のルールというか、習わしである。水を飲みたくないと思っても、水をセルフサービスしなければ、お店のおばさんに迷惑をかけることになる。「水はセルフサービス、水はセルフサービス」が必ず来る。注文は水のセルフサービスの後が決まりだ。店に入ればそのまま水を汲みに行き、それから席を探す。別段おばさんは怒っているわけではない。とても優しい良いおばさんだ。以前、セルフ・セルフと言われたので、水は嫌だったので、ポットのお湯をもらおうと思った。お茶が欲しいなら入れてあげるよと、急須にさんぴん茶を入れてくれた。親切でセルフといっているので安心。ともかく、昼時は混んでいる。車で行くとまずは駐車場は満車である。食べれなかったこともよくある。今は歩いてゆけるからありがたい。おいしん坊定食というのもある。刺身・そば・ご飯と書いてある。不思議な感じがする組み合わせだがたぶん石垣の普通定食なのだろう。

 

 

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