小田原市の地価下落
地価の変動は気にして見ている。ここに日本人の暮らし方が表れてくる。小田原は1,39%下落。石垣市は3,26%の上昇。世田谷区は4,51%の上昇。地方消滅というようなことは日本の地価変動を見れば、分かることである。東京一極集中とか、住宅地と商業地の価格の変動の違いなども、日本社会の様相をよく伝えるものであった。似たものに株価というものがある。株価の動きを見ていると、常に株価を上げようという希望が反映しているように見える。株価に上がって欲しいという思いが籠っているように見える。何もなければ、ともかく上がろうとする。上がってくれという思いに反して悪い材料があれば、狼狽して下がる。社会を反映するというより人間の欲望の反映が表れているかに見える。もちろん地価というものも、投機的な影響を受ける。しかし、土地価格全体を見ると、土地価格というものは土地売買がある以上必ず存在する。むしろ投機的な影響が強い場所がどこかが見えてくる。結局のところ地価は人間の暮らし方を色濃く反映する。
9月18日に基準地価が公表された。これは7月1日時点の日本の地価である。だいたい上がっているという事が言われる。その報道だけを見るとそうなのかと一見思うが、自分の住んでいるところは大体下がっている。だから自分の住居地点だけでも確認をすることは悪くない。どういうところに今暮らしているのかがある程度客観的な尺度で考えることができる。公示価格というものも公表されるが、こちらは私の住んでいるような、都市計画区域外はない。国土交通省に簡単に調べられるページがある。ここでだいたいのことがわかる。小田原市舟原の地価はかなり下がっているという事がわかる。小田原市全体で見ると、商業地は下げ止まり。住宅地は下がり続けている。人口が減少するという事は住宅地の需要も減る。当然下がるという事だろう。これが農地や山林となると下がり幅はかなり大きなものになる。そういうことは別段調べなくとも、想像される通りである。新聞で基準地価上昇に転ずるなどとあるのは、特殊な上昇地区を取り上げて45%の上昇などと書かれるからだ。
そして地下からよくわかることが、格差社会の広がりである。都心部の上昇、そして周辺ドーナツ部の下落。これは、都市周辺部が老齢化が進み、放棄が始まっているという事だ。これは東京だけでなく、何処の地方都市もおおむね同様の傾向である。日本全体が都市の富裕層と地方の貧困層という形に分離を始めている。都市に富裕層が形成されてきているという事が、都市中心部の地価上昇に表現される。そして、投機的部分として、外国人の訪日が増えている場所の上昇が続いている。石垣島はそういう地点である。観光客が増加を続けている。特に外国人観光客の増加が目立つ。当然そうした受け皿として、ホテル建設などが目立って続いている。飲食店も行く度に新しいお店が出来ている。その活気が地価に反映している。多分全国的に見れば、上昇の目立つ少数地点の一つという事になるだろう。これは想像だが、その上昇を支えているものは投機的なものである可能性も高い。
地価から見えてくるものは、日本も3%の富裕層とそのほかの人々の分離が強まってきているという事だ。住んでいるだけ、利用しているだけで毎年莫大な値上がりをする土地の所有者。一方に下落を続けるが、固定資産税だけは徴収される本来であれば、過去の安定層であった土地所有の資産家。どれほどの過去の資産家の屋敷であろうとも、売買もされず放棄されてゆく地方の時代が迫っている。日本の安定層が消滅し、日本というものが失われてゆく姿なのかもしれない。新しい富裕層が都市に誕生を始めているともいえる。新しい富裕層の姿はトランプ氏のような、あるいはホリエモンのような投機家的な傾向の強い人々であろう。競争を勝ち抜いた新たな人々なのかもしれない。こういう人々が日本をけん引して、競争に勝ち抜く中核だとして、アベ政権は後押しをしようとしているのだろう。97%はその他の人々なのだ。そいう現実を地価は見せ始めた。