秋田金足農業の快進撃
秋田、金足農業高校が甲子園の高校野球で活躍をしている。今日、日大三校と準決勝である。強いと言われていた横浜高校が、逆転ホームランで崩れ去った。そして準々決勝では、やはり逆転サヨナラの、ツーランスクイズである。粘り強い泥臭い野球をする。まさに雪国秋田の農の伝統を感じる粘りだ。何処までも諦めない芯がある。これぞ農業高校野球だ。農業にかかわるものとして、農業高校の活躍には格別嬉しい。逆転ホームランの高橋選手は養鶏担当というからなおさら興味がわく。週2回鶏の餌やりや掃除をすると書かれている。どんな授業をしているのだろうか。そっちでも頑張って欲しい。ピッチャーの吉田選手のおじいさんはナシ農家だそうだ。米どころ秋田も厳しい農業環境であろう。そうした環境の中でも農業高校に進学してくれる若者がいる。全国に農業を目指す若者がいる。全国の農業高校の仲間を励ましてくれる金足農業高校である。金足の選手が全国の農業高校の仲間のことを語っている。こういう連帯がうれしくなる。そもそも県立高校が勝ち進むことが難しい。
野球に特化したような高校が全国にはたくさんある。その地方の高校生だと思っていたら、全国からスカウトされた生徒のチームという事もある。ところが野球というスポーツの面白いもので、強化する私立高校だけが強いともいえないのだ。凄いピッチャーが表れた時だ。野球というスポーツは投手の良し悪しが大きく左右する。高校生で最強打者であった松井選手はすべての打席敬遠されてしまい、星稜高校は敗れた。三沢高校の太田幸司投手は東北勢としては初の決勝進出を果たした。連続45イニングを1人で投げ抜いた熱投も実らず、準優勝に終った。金足農業の吉田選手も今大会一番の投手と言われている。評判通りの素晴らしい投手で9回の投球で150キロの剛速球を記録している。全て完投勝利だ。ただ問題は一人の投手で投げ抜くことの難しさである。この暑さの中、4連投などという無理をしなければならない。作新学園で活躍した江川投手がプロ野球でそれほどには活躍できなかったのは、高校の頃投げすぎたのではないかと言われた。
作詞/近藤忠義
作曲/岡野貞一
可美しき郷 我が金足
霜しろく 土こそ凍れ
見よ草の芽に 日のめぐみ
農はこれ たぐひなき愛
日輪の たぐひなき愛
おおげにや この愛
いざやいざ 共に承けて
やがて来む 文化の黎明
この道に われら拓かむ
われら われら われら拓かむ
もう一度この歌を聞きたい。勝利して反り返って叫んでいる姿が、印象的である。到底歌っているとは思えないが、多分叫んでいるのだと思われる声が歓声に消されて聞こえない。画面に現れる歌詞には惹かれるものがある。「農はこれ たぐいなき愛」と書かれている。「日輪の たぐひなき愛」雪国秋田らしい思いがある。この道を農で拓くと歌っている。その意気や良し。と思わず言いたくなる。この歌には思想がある。農業というもののにかける哲学がある。農業には人間が生きる姿の、原初の姿が反映している。その地域に農業が無くなった時にその地域は失われる。もし、農業よりも経済に有利だからと、その地域がカジノを誘致して経済が活性化したとしても、暮らすべき場所である地域ではなくなる。日本が進むべき道の基盤には、瑞穂の国としての稲作農業がなくてはならない。金足農業あと2勝だ。