明治大学黒川農場
明治大学黒川農場を見学させていただいた。ここでは有機農業による市民講座が開かれている。小田原有機の里づくり協議会の15名で出かけた。佐倉教授に小田原で始める有機農業による市民講座へご指導を頂くためだ。3時間も貴重なご意見を頂くことができた。有難いことだった。小田原で始める講座の再検討が必要だ。いくつかの大きなヒントを頂くことができた。明治大学で10年間継続してきた有機農業による市民講座の大きな成果に、目が覚める思いであった。予想はしていたことだが、実際に10年間有機農場を継続していることのすごさ。私もお米では25年継続して誰にでもできるさして難しいものではないと感じている。但し野菜によっては安定して作るという事が極めて難しいという事を感じてきた。それも自分が食べるものであればまだよいのだが、明治大学という組織の講座として、有機農業による作物の作り方を市民に納得してもらえる基準で継続するというのは、大変なことではなかろうか。NHKで野菜作りとして放映しているそうだ。そのことは知らなかった。
小田原で行う場合のいくつかの課題が見えてきた。1、苗作りをどうするか。2、肥料をどうするか。3、一人当たりの耕作面積をどうするか。4、一回の講座を4月から3月までにするのか。一年半にするのか。明治大学では、4月から12月だそうだ。
1、「苗作り」明治大学では苗は基本的に購入することにしている。市民がそれぞれの場所で取り組もうとしたときに、市販の苗を購入する可能性が高いという事のようだ。市販の苗を利用してもできるものにしたという考えだそうだ。ただ、そうなると種から育てるというその作物の全体が見えないことになる。タマネギの苗作りで感じたことだが苗を作るという事に、有機農業技術のかなりの部分がある。ここには壁はあるとしても農の会としては、挑戦しなければならない事の様な気がしてきた。そして、失敗して購入したこともある。失敗するという事も、学習という事ではないだろうか。どうなっているだろうという不安も、大切なような気がする。そのことがあってより真剣に作物と向き合うのかもしれない。
2、肥料としてはサカタのタネの金の有機、銀の有機というものを購入するそうだ。窒素成分に換算して、平均的な慣行農法に比べて半分ぐらいになるそうだ。畑の会では畑にそばかすを入れることで何とか耕作してきた。たぶん窒素成分で換算したら、明治大学のさらに半分にも満たないかもしれない。肥料をどのように考えたらよいかである。肥料を増やすと虫が出る。この点では有機の里づくり協議会の中でも意見が分かれるところだろう。農の会は出来る限り自給できるものでやっている。ソバカス、そば糠が私は中心である。肥料を購入する所から始めるのはあまり好きではないが。できれば、市内で出る様々な有機物をたい肥化する活動など有意義ではないだろうか。生ごみたい肥化事業との連携。
3、自給農業では1家族で100㎡は必要と考えている。そのくらいは一人の面積がやれればと考えていたが、明治大学では1人13㎡だそうだ。4月から12月までで、17回の講座日でこの面積。つまり各々がこなせる面積は案外狭いのか。現在の計画から面積を減らす必要がありそうだが、何処まで減らせばよいのかである。畑の会の作業との兼ね合いも考えなければならない。
4、作物の流れで一通りの作物を経験するためには、1年半の周期で考えていた。短くして良いものかどうか検討が必要になる。補助金との兼ね合いで考えれば、4月初めの3月という形になるのか。そこに入らない、ジャガイモやタマネギは別に考えることになるか。明治大学のものはあくまで導入部分という事であるが、有機の里づくり協議会としては、新規就農の窓口部分の意味が大きくなるのではないだろうか。小麦、大豆、長ネギ、タマネギ、ジャガイモ、こうした常備保存作物をやってみないで良いのかどうか。またやるとしたら別のやり方があるのだろう。そういうものは別の畑で共同で行うという方法である。私としてはむしろ、果菜類の様な日常作業の多いいものは避けるという考えであったのだが。検討材料である。