新TPP妥結に向う。
アメリカはトランプ政権が出来て、TPP離脱を決めた。これは日本の未来にとって降って湧いた幸運である。しかし、その背景にはさらにアメリカに有利な2国間交渉をしようという事が迫って来るのである。今回の新TPPに向かう前提として、日本政府は立ち位置を変えなければいけなかった。日本政府はアメリカの復帰を前提にして、残りの11か国での妥結を目指した。本来であれば、今回の11か国TPPは経済規模からいえば日本が中心になり進めなければならないものである。アメリカ抜きという事であれば、今回の貿易協定の意味はまるで違ってくる。むしろここに中国が加わることの方が望ましい。もちろん中国もアメリカも独善的体質になっているから、TPPに加わる可能性はないとみなければならない。経済連携を強めるという事は、国家間の対立を避ける意味で、平和主義を進めることにならなければならない。ヨーロッパもEU統合が遠のいている。イギリスの一国主義が統合を壊そうとしている。自分の都合だけを優先すれば、当然一国主義の独善に戻るだけだ。国家という枠を人間は乗り越えなければならない。それは遠いかもしれないが人類の目標のはずだ。
日本政府はTPPへのアメリカの復帰を求めないことだ。トランプは2国間交渉を主張している。それの方が正義より、アメリカの利益が優先出来るからだ。アメリカほどの経済大国が独善に走れば、経済に於いては弱いものが従わざる得ないことになる。それは利益を目的にしている資本というものの、自然の動きである。これに対抗するためには新TPPは利用できる。今のアメリカのやり方では世界に格差が生まれ、軋轢が生じる。そこで強いものが譲るという事で、均衡ある世界の発展を目指そうという選択をしなければならないことになる。日本を超えて米中は経済関係を強めるとみなければならない。どれだけアベ政権がトランプに縋りついても、トランプアメリカは日本より中国を選択することは、経済の合理性からすればそうなることだ。
確かにアメリカの中国貿易赤字は日本との赤字より遥かに大きなものだ。つまり、それだけすでに米中の関係が深くなっているという事だ。赤字だからアメリカが犠牲になっているというのは、インチキ理論だ。アメリカと二国間交渉をして対等に交渉ができるのは中国だけであろう。それは軍事力でアメリカに依存していないからだ。韓国を見ればわかる。韓国がどれほど誇り高い突っ張った国であろうとも、アメリカの言いなりにならざる得ないのは、アメリカへの軍事力依存である。いくら韓国が中国に接近しようとしても、韓国の米軍が強化される以上、韓国は中国にとって脅威なのだ。だから、韓国文政権は左翼政権と言われていながら、アメリカに対してさしたる主張も出来ないでいる。日本政府は自らの行動がどのようなものであるかを、世界にはどのように見えているのかを、韓国を見ることで気付かなければならない。ゴルフをしようが3つ星で食事をしようが、あくまで属国の総理大臣の朝貢外交のような姿である。
イバンカブランドは中国生産だそうだ。世界中のブランド品が中国生産になっている。日本は中国をTPPに加える努力をすべきだ。外交とはそういうものではないか。中国が入ろうが入るまいが、交渉はしてみることだ。これはアメリカをけん制することになる。2国間交渉をすれば、必ずアメリカに圧迫される。今回、アメリカがTPPから抜けてくれたことは幸運なことであった。アメリカ抜きのTPP11か国によって、アメリカに対抗すべきだ。そして、中国に加わってもらうという選択肢を掲げる必要がある。これこそがアメリカとの2国間交渉だと思う。中国と日本の共通利害である。アメリカ中心のTPPは日本の文化的危機であった。それはアベ政権が日本文化というものを見失っているからだ。アメリカナイズされた文化にどっぷりつかっている人間には、日本文化に根差すことこそ、日本の価値を主張できるという事が見えないのだろう。