観光産業の問題点
日本は海外からの観光客が増加している。地方では地域産業の衰退する中、観光産業が地域維持のカギになっている。特に沖縄に関して考えると、観光が沖縄の産業でますます重要なものになっている。産業の17%が観光関連であるとあった。よく言われる米軍関連は5%程度だ。だから、今や米軍基地を止めてその場所に観光施設を作れば、沖縄の経済はさらに活性化するだろうと言われるようになっている。沖縄の基地経済依存は過去のものになった。沖縄はアジアのハワイになると以前書いたが、実はすでにハワイを超えている。ハワイは年間800万人の観光客がいて、観光客の抑制が課題になっているらしい。そして沖縄は800万人を超えたとある。しかも900万人を目指そうという事らしい。面積的には沖縄の10倍ハワイは広い。その広いハワイですでに観光客が多すぎると問題になっているというのだ。ハワイの人口は1,211,537人。沖縄県の人口は1,433,566人だ。沖縄の方はもっともっと観光事業に力を入れようという事である。
沖縄県民が米軍基地よりも観光事業の方がありがたいのは当たり前のことで、沖縄としてはアジアにおける地理的な条件から、観光の島になることが当然の選択であろう。基地の島のイメージは沖縄としては観光の障害でしかない。まして、アジアからの観光客を期待しているのに、対アジアをにらんだミサイル基地の島では何ともちぐはぐなことになる。今後も沖縄県民としては、基地に対する反対の思いは年々強まるだろう。それは経済的理由だ。経済が弱いから、基地を受け入れるだろうという、本土の人間の思惑は崩れてきている。基地の地代で遊び暮らしているというデマがあるが、観光目的で利用価値の高まっている沖縄のことである。人口の増加も起きているぐらいだ。政府に貸すよりより観光産業で有利に賃貸利用できる状況が生まれてきている。沖縄の土地の方が小田原より高いのだ。今度やんばるの広い地域の米軍基地が返還された。その真っただ中に、オスプレーの訓練基地が残された。観光としては全くの迷惑施設である。すごいジャングルだと眺めていたら、シルベスター・スタローンの映画のように、オスプレーの飛来ではうるさくてどうにもならない。
西表が世界自然遺産を目指している。知床が自然遺産になっている。較べてみて遜色がないどころか、西表は世界でも屈指の多様な自然の魅力のある島である。特別天然記念物イリオモテヤマネコが暮らしている。この島が沖縄観光の新しい材料になるのは間違いがない。その他でも、住民の数よりも観光客の方が多いいという島がいくつもある。観光収入が生活を支えているとしても、さすがにもうたくさんという声が出てきて、入島制限を検討している島も出てきている。入島税の導入という事もある。観光施設の建設制限は何処の島でも議論されているようだ。今のままに観光客が増えるという事は、自然が劣化するという事に繋がる。今年、石垣島ではサンゴのかなりの面積が死滅した。理由は、簡単ではないようだが、赤土の流出。生活排水による汚染。畜産による排泄物汚染。いずれにしても観光客が増え、需要が増えればそれだけ土地の開発が起こり、自然は劣化する。何処で折り合いをつけるかはなかなか難しい問題がある。
方向としては量の増加ではなく、質の向上なのだろう。観光の質の向上の意味は難しいが、自然を維持しながらの観光業でなければ、将来は観光も衰退してしまう。観光の質の向上とは例えば、ゴルフ場を作るとか、巨大な観光ホテルを建てるとかではない。自然のなかに溶け込むような沖縄らしい施設を目指す。自然を味わうことを主目的にした観光に転換するという事ではないだろうか。石垣や西表にはたくさんの田んぼが残されている。私からみると、50年経てばこの田んぼは最高の観光資源である。人間の暮らしの原型がある。何しろ2万7千年前の全身人骨が19体も出た島だ。ここのお米で泡盛を作る。東洋3000年の歴史を感じる田んぼである。こうした田んぼを維持することが量から質の観光資源にもなるはずだ。自然になじむ里地里山の景観がを残すことの意味を、観光としても未来に向けて検討してゆく必要があるのではなかろうか。まあこんなことを思うのは少数派なのかな。