ドル高が良かったんだっけ
トランプ大統領が夜中に突然補佐官に電話をして、ドル高の方が良いのか、ドル安の方が良いのか質問したという、ウソのような話があるそうだ。アメリカファーストだから、ドル高が良いと思ったのかもしれない。私は常々、円高が良いと考えている。ところがアベ政権は円安誘導をしているとトランプ氏には文句を言われた訳だ。何故、円安の方が良いと安倍政権が考えていると思われたかである。ここが不思議である。言い訳めいた説明によると、デフレ脱却政策を進めているだけであって、円安誘導をしている訳ではないと、麻生財務相は説明をしている。いずれも、円高は日本にとってマイナスと考えているようだ。何故なのだろう。円が高くなるという事は日本全体の価格が上がるという事なのだから良いはずだ。アメリカの不動産を日本の企業が購入しやすくなるというようなことが起きる。一時、日本資本がアメリカに大きな投資をした時代もあった。
円安で恩恵を受けるのは、輸出する企業ぐらいではないか。円高というのは普通の生活者全般には、大体の場面で良いことだと思うが。円安なら外国からくる観光客にはいいのだろう。要するに普通の生活者には円高が良いと言って間違いないようだ。ガソリンも安くなる。電気も安くなる。輸入品はすべて安くなる。ユニクロの服も安くなれば、電化製品も大体は安くなる。円安でいいという人は少数派だ。何故、政府はわずかな輸出企業のために円安誘導をすると疑われなければならないのだろうか。トランプ大統領ではないが、誰か詳しい人に聞いて見たくなる。もうひとつ経済でわからないのが、国際収支が赤字になるという話である。貿易の収支が赤字になるというのも同じだ。赤字だから、つまり物を売るより、買う方が多いいという事だろう。家庭においても、毎月の収入が赤字であれば、困ることではあるが、買うものに物にもよるだろう。金を買って赤字であっても、金が値上がりすれば資産は増えるわけだ。ガソリンをたくさん買って、赤字になるとしても、そのガソリンでたくさんの生産を上げるのであれば、国が豊かになってゆくという事でもある。
アメリカで工場を作るとして日本からお金が出てゆく。しかし、アメリカで自動車工場に投資すれば、アメリカでの自動車の生産量が増えるされる。これがどこかへ売られ、その儲けが日本に還元されるのかもしれない。様々なお金の流れが考えられる、貿易収支だけでは困ったことなのか、良いことなのか数字で判断してはならない。その内容がどうなのかである。国が発展途上の状態で、国内に工場が出来てゆくような時代であれば、製造施設の投資による貿易赤字は良いことである。さらにわかりにくいのが、消費にお金が回らないから良くないという話である。消費をしなければ、景気が悪くなるので、国民は消費者と呼ばれて消費を盛んにするように期待される。確かに企業にとっては消費が少ないというのは売り上げが少なくて困る。しかし消費をしなければ、家庭の経済は豊かなになる。節約することは家庭にとっては美風である。
経済のことはどうもわかりにくい。むしろ政府や報道が意図的に分かりにくくしている。国民の損が企業の得になりやすいから、偽ニュースが流されているのではないか。大本営発表に騙されているようだ。生活者の視点と、全体のことが相反することがままある。日本にとって良いと、政府が言うことはいつも眉唾だと思って聞いている。企業の利益が個人にもいつかは回ってくるという事がよく言われているが、どうも企業の利益だけが留保されてゆくようだ。特に自給の農業者にとって良いという事は、大体において、日本にとって困るという事に説明されている。報道というものが企業の広告に支えられているという事から、景気が悪くなると広告収入が減るという事を怖れているだけではなかろうか。騙されないようにしないとならない。