三菱自動車の不正
三菱自動車では、燃費の数値を不正に低く届け出て、エコカーとして販売していた。あのパジェロまで不正燃費表示だったそうだ。ホルクスワーゲン社と同じ不正を行っていた。人を笑っていた日本の企業も同じことをしていたのだ。日立不正経理、化血研の許可外の製造方法。東芝不正経理、旭化成建材杭打ち偽装、雪印や日本ハムや伊藤ハムでの牛肉偽装、東洋ゴムの免震偽装、タカタのエアーバック問題、思い出すだけでも日本の大企業がぞろぞろとおかしい。もう日本の一部は腐り始めていると言わざる得ない。金もうけの為には手段を択ばずという事が始まっている。始まったというか、増大してバレるようになったのかもしれない。どうも、大企業の悪事が露見する都度、外部委員会による調査となる。分析の結果再発が防止できるかというと、その兆しもない。自浄作用が働かない状況。金もうけと不正行為の境目などないという気がする。
はっきりと不正がわかるものだけで、これだけあるのだから、その背景にはグレーゾーンが相当に広がっているに違いない。行きすぎる金儲け主義なのだろう。ワタミの渡辺社長がブラック企業裁判でついに、非を認めて謝罪し和解した。しかし渡辺氏はなんで悪かったのかは、本当の所では理解はしていないと思う。ラジオで5年先の自分を語ろうというような、健全番組をやっている。悪いことを言っているわけではない。前向きに、5年先の目標を掲げて、努力しようというようなことだ。少し、思い込みが強いとは思うが、成功者が、自分の成功したやり方を他の人にも伝えたいという事は、よく分かる。私は自給生活が子供の頃からの夢だった。その夢を実現できたから、そのやり方を残しておきたい、人に伝えたいという気持ちになっている。自分が始めるときには、何の参考書もなく、全くの手探りだったからだ。それは自然養鶏を書いた時も同じ気持ちだった。
問題は企業という資本の原理の枠の中で、社長が社員に対して、5年後の未来に向かい、がむしゃらに努力しろという事になると、社員の中には過労死で倒れる者も出てくるという事になり、それはブラック企業という事になるのだろう。これが自分の養鶏場で養鶏をやっている以上、過労で倒れて死のうが自業自得で終わる。誰を責めることもない。自ら過労死に至らなければできないような目標を立てたことが間違いだったのだろう。企業においては、社員の頑張りというものが、企業の利益になる。だから、社員の一定の労働条件という枠内で頑張れということ以上は、社長は主張してはならないという事になる。しかし、能力もあり頑張る社員が出世するのだろう。出世したいというのは、会社員であれば多数派の希望であろう。となると黙っていても、業績を上げ、認められようと頑張る。その結果不正が行われる。
三菱にも車の燃費を向上させたという事で、ボーナスをもらい、出世した社員がいたはずである。企業が国際競争に負けてはならないという事もある。正しいことだけやっていて、競争に負ければ元も子もないという意識もあるかもしれない。少なくともぎりぎりのことまではやるだろう。ぎりぎりが、つい限界を超えても分からない人間になる。せめて、フォルクスワーゲンの不正が騒がれたときに、告白すべきだった。まだごまかしとおせると思っていたのだろう。今もごまかしていることが、日本の企業には山ほどありそうな気がする。大企業に勤務するような、優秀な日本人こそが、そんな人間が増えてきている。つまりそういう競争を要領よく勝ち抜く人間が、負けそうになった時には、不正行為も選択肢に入るのだろう。そういう能力競争が日本の企業風土になってきているようだ。これが国際競争力の裏側に横たわっている。負けてもいいじゃん。だめでもいいじゃん。これが自給生活の精神である。