代替医療の危険

   

がん治療でハーブやビタミン投与などの代替医療を選んだ米国の患者が五年以内に死亡するリスクは、外科手術や抗がん剤などの標準的な治療を選んだ患者の二・五倍になるとの研究結果を米エール大のチームが発表した。植物や動物、鉱物などを希釈した水を染み込ませた砂糖玉を飲む療法「ホメオパシー」やハーブ、ビタミンやミネラルの投与などが考えられる。

学生時代生きることを教えられた畏友に松木さんという方がいる。がん治療の専門医である。この方が嘆かれたことがあった。病院に来た時に手術に踏み切れば助かる可能性が高かった患者が、手遅れになってからまた来ることがあると言われた。藁にもすがるのは人の常であるが、〇〇菌でがんが治るなどという巷にあふれる情報に迷われる人も多数存在する。癌と戦ってはならない。と主張する慶応大学病院の近藤医師の主張を私は評価している。しかし、それを浅い理解で考えてしまうと危険が増すことになるだろう。いかなる病状でも手術は避けるべきだとか。治療しないことが正しい選択だとか。思い込みは禁物だ。友人の絵かきが癌になり、手術をした。そして、絵が素晴らしく前進した。とても学ぶところがあった。絵に向かい合う深さが違ったのだろう。覚悟というものを見た。

ホメオパシーなどという似非科学に惑わされては絶対にダメだ。近代医学の成果を正しく評価し受け入れるべきだ。

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