核兵器は憲法違反

   

法制局長官が核兵器を使用することは日本国憲法では許されていると、新しい憲法解釈を国会答弁した。横畠裕介内閣法制局長官の予算委員会での答弁である。菅官房長官は過去の国会答弁に基づいたもので、問題はないと発言を支持した。相当に準備された発言と考えなくてはならない。日本の政府はついにここまで来てしまったのだ。こうしてしずかにわずかずつ、軍事国家への道を歩み始めている。自民党の右傾化には驚きを感じる。日本国憲法のどこをどう読めば、核兵器の使用が許されているというのか。いよいよ、安倍内閣の本音が表面化してきている。これで、憲法が自民党憲法になれば、日本は戦前の日本に戻ることになる事が、明確になってきた。日本の敗戦の風化。日本の軍国化を止める為には、どれほど困難であろうとも、今度の参議院選挙で自民党を敗北させる以外にない。この先方角の変更はより難しくなるだろう。日本を諦めるわけにはいかない。

第2章 戦争の放棄

第9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
 
 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
 
この憲法9条のどこをどう読めば、核兵器の使用が許されるということになるのであろうか。「憲法上、あらゆる種類の核兵器の使用がおよそ禁止されているというふうには考えていない」法制局の長官の詭弁はひどすぎるだろう。防衛的、警察力としての武器の使用は国際紛争の解決ではないので、武器使用が許されるという事は言える。しかし、核兵器が防衛的軍事力とは到底言えない。核兵器を国際紛争解決の手段として考える国は存在する。核兵器を保持することが、抑止力になるという発想なのであろう。抑止力であれば、防衛力的武力であるという考えを導き出したのではなかろうか。まさに北朝鮮の主張と同じである。アメリカが核兵器を保持している以上。対抗するためには核保有するしかないと考えている。何かとその使用をちらつかせて国威を発揚しようとしている。そのことに対して、世界の大半の国家が、核保有は国連決議に違反するので制裁を加えている。日本もその異端の一国になろうという前触れに見える。
 
政府が核兵器保持がしたいと考え始めている背景はアメリカのトランプ現象である。アメリカが同盟国として危うく見えてきたのだ。核保有せずとも、脅されることなく国家が存在しうる状況を作り出すことだ。トランプ現象で吹き飛ぶような日米同盟というのはその程度のものなのだ。世界平和を守るための正義の日米同盟であれば、トランプが登場したとしても、日本の態度は変わることはない。しかし、日本は仕方がなく、アメリカの軍事力に支配されているという状況認識であれば、独立国家になるためには、核武装が必要だという議論が必ず出てくる。今その第1歩が国会で答弁された。原発を止めないわけだ。日本のトランプ化。こうして世界中が軍事競争に入るという事になれば、世界は終わりである。競争の結果世界は消滅することになる。破滅に突き進む道だ。それを唯一押しとどめる国が日本である。それが日本国憲法9条である。理想主義であるが、その理想主義を掲げる以外に、世界の軍事競争に歯止めをかける道はない。
 

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