あさが来た

   

NHKの連続ドラマはよく見る。安倍氏の良く話す女性が活躍する社会の、トップの成功事例だろう。大阪物で、得意の嫁いびりは余分ではないか。出だしのAKBの歌が良い。歌詞は「人生は紙飛行機」というのはそうかなとは思うが、最初のソロの歌い方がとても良い。声の出し方が良い。しゃべる声そのままに出して、無理がない。舌っ足らずでもなく、鼻声でもないし、のどに引っ掛けてもいない。久しぶりに上い歌を聞いた気分だ。メッセージが伝わるところが、大したものだ。朝この歌を聞くと気分が晴れる。そういえば、午前中には歌を歌ってはならないというのが、江戸時代では常識だったらしい。後に続く、合唱部分はいただけない。せっかくの個性が吹っ飛んでしまう。最初に流れる、出だしのソロだけが良い。

今回の連ドラでは江戸時代の女性の置かれた立場が、垣間見れる。何故、江戸や明治の女性に自立した、こういう人が現れたのかを注目すべきだろう。江戸時代が封建主義で女性蔑視時代だと、決めつけられていることを見直さなければいけない。今までも、明治に活躍した女性の話はいろいろ放送されてきた。さらに時代をさかのぼってちょんまげ物の女性の活躍話は初めてである。いかにも封建的な江戸の豪商の家で、嫁に来た女性が、仕事を任されて活躍できたのである。私は慶応年間に生まれた、曽祖母さんを直接知っている。その人は、人間として自立された方だった。封建的でも何でもなかった。自分の考えを持っていていろいろ教えてくれた。今から100年前、山梨の道もないような山寺に祖父とともに入り、立て直したのである。住職が行き詰まり自殺をして崩壊しかかっていた寺である。生活など全くできない山寺で、自給自足的に暮らした。母の兄弟は5人いたが、全員が大学まで自活して進んだ。その中心にいた曽祖母さんである。

祖父や祖母を立てて、でしゃばることはなかった。曽祖母さんの父親は江戸幕府の通弁だったそうだが、コレラで若くなくなった。コレラをころりと言っていた。残された祖母は叔父のところで育ち、結婚して祖父を生んだのだが、そのご主人も早世する。叔父に助けられながら、祖父を僧侶にした。祖父は若い頃吉祥寺にあった栴檀林に通ったというから、私の世田谷学園の大先輩でもあったことになる。曾祖母さんは何か事業を起こしたわけでも、特別なことをしたわけでもないが、その存在には明確で、強いものがあり、曾祖母さんがいなければ、住職もこの寺にいられなかったと檀家の方が言われていた。たぶんごく普通の庶民の女性も、特別ではないが、当たり前に、しっかりと暮らしを立てていたのだと思う。

それが江戸時代の人間の実像だと思う。今の時代とは違う形で、女性が尊重され、評価されていた面もあったのだと思う。その意味ではイスラムの女性の地位とは全く違うと考えなければならない。というようなことをあさが来たを見ながら思う。朝ドラで評判だったのが、「おしん」である。これは明治時代の富国強兵がいかに、日本の庶民を痛めつけたかということが、ドラマの背景にあった。おしんは山に逃げ込んだ脱走兵と冬の山中を過ごしたのだ。八百屋から、スーパーの経営者になるが、幸せとは言えない。それが戦後の日本社会である。あさは金貸しの家に嫁ぐ。金貸しというものは毛嫌いされていたはずだ。そういう側面をもう少し出してもいいのではないか。金貸しが、福岡で炭鉱を経営をやるということがどんなことだったのか。明治政府と結びついて銀行経営をやるらしいが、歴史をきちっと抑えてほしいものだ。

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