東京圏への人口流入

   

東京圏への人口流入は、5年ぶり10万人超ということだ。地方創成どころではない現実。切羽詰まった状況は明らかになってきている。富の集中が起きている。日本の社会は韓国社会を後追いをしている。一握りの富豪に経済が支配されてゆく社会。戦後の日本社会の活力の源は、平等社会の実現にある。誰でも働けば普通に暮らせる社会がそこまで来ているという実感があった。所が、ここ10年格差社会は深刻化している。世界での経済競争に勝つためには、能力主義の徹底しかない。という切迫した思い込み。政府は地方創成を掲げている。所が、地方をどう作り出すのかという具体策はいまだ見えない。細かな方針を読んだが、これなら行けそうだという感じが出ない。地方地方に創成の方向を検討する力がない。地方政治のメンバーに地方を創生するような哲学や、構想力がない。また同時に、地方の行政は財政不足に追われるばかりで、新たに地域を創生するような余力は無いと思われる。

そうした中で、東京圏への人口集中は続いている。政府の方針等誰も信じていない事が分かる。政府もああ言っているのだから、これから地方も良くなってゆく。もう少しの辛抱だ。等と考える人はまずいないという現実。政府が信用されていないだけでなく。誰しもこの点ではあきらめ気味と言う所だろう。小田原は神奈川県であるので、東京圏と言えない事もないが、実際には人口減少は始まっている。東京圏の様な、地方都市のような微妙な所にある町だ。私は小田原は地の利を得た、良い場所だと思っている。それで越した場所だ。東京近郊で、これほど自然があり、規模は小さいながらも、一次産業の産品も事欠かない地域。30分で東京に出れるという地の利もある。何故、これで小田原が人口減少地域になってゆくのか不思議なくらいだ。小田原に都市計画がないためだと思われる。どのような地域になる方針なのか、住民も行政も、良く見えないという所だろう。

恵まれてきたがために、その日暮らしをしている内に、大きな方向を探る努力を忘れているという気がする。小田原の中で久野地域は農業地域と言う事になっている。しかし、久野が農業地域であるという共通認識は大半の久野住民にないだろう。行政にしても、久野を農業地域として、どのような農業の地域にしてゆくのかという構想を示した事はない。農業が存在しているから、農業地域と決めたというくらいの感じで、住民は受け止めているのではないか。だから、出来れば農業以外の地域指定がされ、土地が何にでも使えるようになれば、うれしいと言う住民が多いのではないか。個人的には久野は自給農業地域と考えたらどうだろうかと思っている。専業農家と言っても、久野で大規模農業はできない。農地は分散されているし、起伏もかなりある。こまごま手のかかる農業をせざる得ない地域であろう。傾斜地農業である。自給農業について書きだせばきりがない。

人口減少は小田原にとって悪い事ではないと、考えるべきだ。きっちりした将来の都市計画を立て、それに従って街全体を作りなおす機会になる。現状は都市近郊の乱開発の結果のような状態だ。しかも、駐車場もない市民会館が建てられる。本来であれば、足柄平野の中に1つ、しっかりした地域の会館があれば充分である。酒匂川流域を一つの地域として考え、全体で考えた方がいい。お城の正門の前を邪魔するような市民会館が何になると言うのだろうか。町なかに相応しい、町を活性化するものを作ればいい場所である。ギャラリーや劇場も良いだろう。しかし、大きなものは郊外に作り、駐車場は当たり前に作るべきだ。都市計画で動くのでなく、利権の力関係で動いているように見える。こうした現状を見ていると、多分日本全国こんな状態なのだろう。地方創成はまずできないと思わざる得ない。競争社会はさらにエスカレートする。東京オリンピックもある。さらなる東京集中は進むはずだ。

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