長野地震
房総の村 中判全紙 写生に行くと同じ場所をいつも何枚か描く。一枚目と2枚目では絵が違ってくる。と言って3枚目まで描く事は少ない。大体2時間くらいの事だ。この絵も奈良の関さんの繪から学んだ空間意識が反映している。
糸魚川―静岡構造線と呼ばれる活断層で、大きな地震があった。神城断層という活断層が動いた。高校の地学で教わった事で言えば、フォッサマグナという日本列島を二つに分ける古い地層でできた、本州の中央を溝が南北に走っていて、その溝に新しい地層が溜まっている地域が、巨大な活断層がある。今回の地震はその支線の神城断層が動いたという事。活断層という所で大きな地震が頻発する。何しろ今回でも、70センチから90センチの隆起があった。その為に、原発は活断層の上には作らないという事になっている。所が、地震で原発は壊れないという主張が、必要にされるている。福島原発事故は津波が原因であって、地震では壊れなかったという考えである。確かにそういう想定もありうる。しかし、本当のところはまだ分からないという事だろう。肝心の壊れた現場には入る事が出来ないわけだ。科学は不明は不明として考えておかなければならない。再稼働したいがあまり、原発は地震では壊れないと断言するのでは、科学的とは言えない。
日本列島が自然災害の多発地域である事だけは確かである。この現実を踏まえたうえで、暮らしを考える必要がある。日本列島に住んだ日本人は、ひどい自然災害で滅亡しかかった事さえあった。それでもこの地域で暮らそうとひたすら努力することで、素晴らしい文化を築きあげた。むしろ一夜にしてすべてを失う悲しい経験を積み重ねることで、日本人独特の生死観を醸成したという事が言える。この教訓を既に忘れて、福島原発は完全にコントロールされている等と断言する総理大臣にこの国は任せておけない。それだけは確かだ。御岳山噴火、長野地震、日本列島の中央で起きている事は、立ち止まれという、赤信号だと考えた方がいい。東日本大地震以来、何か不吉な前兆なのかもしれない。温暖化による過去なかったというような大きな台風も、毎年押し寄せる。集中豪雨から、過去最悪の土砂災害という事が日本全国で頻発している。
福島原発のトレンチという場所の凍土壁は上手く出来なかった。ついに断念したと発表された。あの必ずできると、科学を無視した東電の主張はまた崩れ始めている。トレンチの凍土壁は断念した。その誤算を科学的見地で解明せず、まだ凍土壁で地下水の流入を止められると主張している。間違いなく、放射能汚染水は海に流れ出ている。科学調査をするなら、湾内の海水が何故放射能の濃度が高くならないのか、これを解明する必要がある。原因は東電の調査がごまかしの為だと言える。東京新聞の独自調査では、湾の出入り口ではセシューム濃度が高かった。プルトニュームはセシュームより水に溶けやすく、これから高くなる可能性があると言われている。これから長期間続く、放射能漏れとどうかかわる事が、日本にとって最悪にならないかを考えるべきだ。再稼働を急ぐあまり、丸で福島が解決したかのように宣伝する政府は、ひどい間違いを犯している。解決どころか原因すら未解明、その対策法すら見えない。事故処理スケジュールは崩れているのだ。ともかく活断層の上に原発は作らない。あるものは除去する。40年経った原発から早急に除去する。新設は認めない。自民党の衆議員候補の90%は再稼働賛成だそうだ。
原発に代わる新しいエネルギー政策を建てる。日本のような災害列島では当たり前のことだ。それが長野地震も示している。この当たり前が何故出来ないのが、自民党政権が既得権益の代弁者だからだ。既存の電力会社の維持と利益を優先して考えてしまう体質なのだ。その為に第3の矢と呼ばれた、成長戦略による新規エネルギー産業の創出が出来なかった。この災害列島を考えれば、原発にこだわっている事は、未来に禍根を残す。予定通り30年の間には完全に再生可能エネルギーへの転換を果たす必要がある。日本列島はそれほど危険な地質の上にある。過去に執着する政府を見ていると、もう日本という国が溺れかかっているように見える。原発が高くつくエネルギーだという事を世界が気付き始めているときに、原発輸出を政府が推進する。商売人としても失格ではないか。これが第3の矢の経済戦略であるとすれば、あまりにみすぼらしい。