まち・ひと・しごと総合戦略

   

根府川海岸 中盤全紙 この断崖がみかん畑だったのだからすごい。石を積み上げた人間の努力が風景に現われている。

安倍内閣がこれから一番力を入れるのが、地方創生ということだ。素晴らしいことだ。是非やり遂げてほしい。微力ながら、地場・旬・自給を掲げやってきたことである。安倍氏は瑞穂の国、美しい日本を目指していると言われている。本当は農の会と同じ道を目指していると信じたい。今までのところ、アベノミックスでは、第3の矢という新規産業の育成という意味で、成果を上げることはできなかった。新規産業の立ち上げに力を入れたはずだったのだが、成果は出ていない。その意味で地方創生は新規産業の立ち上げを含めた、内閣最後の勝負のはずだ。是非とも、本腰を入れてやってほしいものだ。国民全体の最後の期待という気がする。「まち・ひと・しごと総合戦略」というのは一体どんなものだろう。内閣府のホームページで読んでみても、私の理解力不足なのか、具体的に何をやるものなのかが、さっぱり分らない。難しい政策だから、簡単に具体策などないのだとは思うが、それでも抽象論だけでは事は進まないはずだ。

まず地方の人口減少を食い止める。という目的が第一に書かれている。どうやって食い止めるかの有効な手段までは示されていない。すべてが観念的な、上手く行くとすれば風に書かれている。法律化する必要があるというのだから、なにか具体的な政策方針があるものと信じたい。まだ示されていないと思うしかない。趣旨も志も良い。後は具体策の検討だろう。まち・ひと・しごと総合戦略という命名から想像して、地方の活性化の戦略が示されるはずだ。全国知事会のホームページ(毎日新聞論説委員 人羅 格)にこの法案の説明が出ている。地方の人口減少をどうやって食い止めるかが最大の目的のようだ。しかし、この説明でも有効な人口減少対策については、何も書かれていない。どうもこの解説によると、アベノミックスの挫折からの視線をそらすための、地方創生案と思われても仕方がないのか。安倍内閣は気を見るに敏である。それでも目的とする地方の人口減少を食い止めることが可能だと感じさせるような具体策が無ければならない。

地方の人口減少を受け入れて、消えて行く地域が多数出現する中で、残り得る地方をどう再構築するかのほうが、緊急的な政策課題である。以前、ゴミ焼却炉の統合の時に、西湘地区の将来のごみ量の予測が、人口増加のもとに計算された過大なものであった。もっと小さなもので十分間に合うのではないか、という質問に対して、行政はこれから努力して、人口増加を図るのだと答えていた。これでは無駄な公共投資に成ることが目に見えていた。あれから10年経って、私の予測通り、西湘地区の人口は減少を始めた。消滅予測地域すらある。今後地方のごみ量は自然減してゆく。その中で焼却炉をどう考えるかである。にもかかわらず、人口増加を努力して図るから、大きな焼却炉が必要という議論では、無駄な投資に成る。焼却炉はごみが足りないと、無駄な燃料を必要とすることに成る。燃焼効率が下がり、コストが上がる。すでにそういう自治体が出ている。今回の地方創生も、地方の人口減少を受け入れないで案を立てれば、無駄な公共投資が行われることに成る。大きなトンネルを作って、過疎の村にインフラを整えたと思った頃に、人がいないという結果に成りかねない。

今必要なことは、地方の人口がどこまで減るかの現実を認めて、受け入れることだ。先日の静岡大学の小和田先生の話では、戦国時代の日本人口は1500万人と言うことである。その人口なら、やりやすいことが沢山ある。人口が減少するということを受け入れて、その上で、どうすれば地方での暮らしが素晴らしいものに成るのかである。人口が減るということは悪いことばかりではない。農地があり、家がある。移住者には恵まれた条件が準備されているということだ。視点を変えれば地方の過疎地域こそ、新たなフロンティアである。人生の冒険に出掛けるチャンスだ。若いころであれば、勇んで出かけて行く所だ。小田原でも同じことである。人口は減少して行くであろう。農地は山に戻り始めるだろう。この地域にどんな人間の暮らしを作ることが、日本人にとって、幸せであるのか。大いに期待できる所だ。農地の公有化である。農地を個人所有から外すことだ。農地を資産としてではなく、国民全体の食糧の生産地として、組み直してゆくことだ。農地は利用して初めて価値が出るものと考える。

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