リモンチェッロのようなもの
早川の放棄みかん畑 中盤全紙 放棄された畑が面白いというのも、申し訳ないのだが、自然に戻る過程は興味深い。
イタリアにはレモンを使った、果実酒がある。リモンチェッロとかリモンチーノとか呼ばれている。フランスにいた時にアマルフィーに行った人からお土産にもらったことがあった。もちろん飲んだのだが、それほど美味しいとは思わなかった。最近レモンの木が良く実を付けるので、レモン液を作った。このことは以前も書いた。レモン液を作るときに、レモンの渋みのない所をあっさりと取る方が美味しい、好みである。ただ氷砂糖が溶けて、レモンの液がにじみ出てくる範囲で果汁を取る。これを、レモンシロップとして夏の間中使った。かき氷の定番シロップである。かき氷はかなり好きで、お腹が痛くなってもかき氷が食べたくなる。ひと夏で、3リットルは使いきった。そして、そのエキスを絞った後、ホワイトリカーを入れて置いた。あまり期待はしていなかったのだが。まだ十分使えそうなものを捨ててしまうのが惜しかったのだ。まあ、こうして飲みもしない果樹酒を貯め込んでは、最近死ぬまでには飲みきらないといけないと言うので、最近はせっせと飲んでいる。
昨夜、これを取りだして飲んだ。7月15日の記事に書いてある。。これで果汁の美味しいところは採ってしまったのだが、まだまだ充分に絞れる果汁が残っている。皮を丁寧に取る様な手間をかけることが私にはできない。しかし絞れば苦みが出る。そこで残ったレモンをもう一度、一キロの氷砂糖を加え、ホワイトリカーを2升加えた。しばらくは漬け込んでおいて、れもん酒にして飲む。これは時にやるのだが、あまりおいしいとは言えないが、それでも結局飲んでしまう。レモンを無駄にしたくないということである。と言いながら結構、色々のお酒を飲まないとならない、ならないと、溜まるばかりだ。もったいないがいい訳なのか。と書いているが、丁度2カ月したので、取りだして飲んでみたことになる。これがなかなかの本物なのだ。以前それほど美味しいものに成らなかったのだが、今回は意外に格別なものが出来た。
理由は2つある。一つは最近お酒が好きになった為ではないか。お酒には弱いのだが、お酒の味が好きになった。昔から生ビールは好きで、がぶがぶ飲みたい方なのだが、強いお酒は飲みたいとそれほど思わなかった。ところが、梅酒とか、枇杷酒とか、死ぬまで飲みつくすノルマのように飲んでいる内に、だんだん強いお酒の感じが好きになってきたようだ。その為に、偽リモンチェッロも美味しく感じるように成ったようだ。酒好きという訳ではないのだが、おかしなものだ。もう一つ考えられる理由はレモンが良かったということ。今回のレモンは大ぶりの果実で完熟である。7月まで実らせておいたものだ。ずいぶん大きな立派なレモンだった。レモンは苦みが少なく、完熟させたものが良いに決まっている。採ってすぐ使えば香りも良いことに成る。レモンが美味しいからといって、市販の物は避けた方がいい。ポストハーベストとか、農薬を使ったものは気分的に良くない。絞ってエキスを取りだすのだから、どういうものに成るか不安があれば、美味しいお酒にならない。
さらにこの残ったレモンで、レモンのマーマレードを作る。まだ十分ママレードに成りそうな様子なのだ。問題はレモンの油がどの程度残っているかだが、程よく抜けていて、案外うまく行きそうである。又この結果は後ほど書く。レモンは越してきてすぐ植えたものだから、15年ぐらい経つ。一度台風の時に折れてしまったのだが、また再生してきた。使い道が無い割に最近は良く実るので、もったいなくて仕方がない。レモンが小田原で良く出来ると言うのは、温暖化ということだろう。まあ悪いことばかりではない。家のレモンはまるでアマルフィーの物のように大きな夏ミカンの様なものだった。アマルフィーを思い出して作ってみた。アマルフィーに行ったのは、40年も昔のことだ。あの風景にはそれほど興味は持てなかった。長沢節さんの名作で成るほどあのように見る人もいるのかと再認識した。リモンチェッロを飲むときは、きっと長沢先生のことを思い出すことに成るだろう。